机が置けない

机が置けない 2002_11_21

 

私の部屋には机がない。
勉強するには、寝ころぶか、立ったままか、パソコンラックのキーボードをどけるしかない。
とてもまともに勉強しようとする者の態度ではなかった。
どうにかして勉強机を置かなくては・・・・。

部屋の中を見渡してみると、机を置くにたるスペースは一カ所しかない。
縦置きモニタが置いてあるパソコンラックを退けて、スペースを作るのだ。
幸いにしてというべきか、不幸にしてというべきか、縦置きモニタは『怒首領蜂』以降、極希にしか使われていなかった。

「もう捨てても良いか」と思えるほど、このモニタは古い。
ムキ出しのブラウン管をフレームにハメただけのこのモニタは、アンチフラット画面とでも名付けるのが相応しいほど湾曲している。
裏の配線もムキ出しだし、音声ケーブルは自分でハンダ付けした。
メーカー名だけは、天下の「NANAO」なのだが。
かつてDC版『怒首領蜂』が発売されたときに、どうしても縦画面モードでやりたくて買った代物だ。(セガのBBSに出入りしていたマニアの方に入手・接続方法を教えてもらった)
26インチなのに僅か2万円で手に入れることが出来たのは、廃品同様だったからなのか、基板屋の情熱が為せる技なのか。

ただ、いざ捨てるとなると、これはなかなか難しかった。
勿体なくて捨てられない。
なにせ私がゲーマーとしてもっとも高まっていると感じていた時を共に過ごした縦置きモニタなのである。
しかし、過去にどれほどプレイしようが今プレイしなければ何の意味もないのであって、やはりこれは捨てなければなるまい、と私は決意していた。

私が『サイヴァリア』をプレイすることになったのは、「もう捨てる!今度こそ捨てる!」と思いながらなかなか捨てられないでいる時のことだった。
プレイするゲームがあるのなら、捨てることは出来ない。
縦置きモニタを捨てない大義名分が出来たのだ。
大変ありがたいことだった。
大きな縦置きモニタでプレイするのは、この上なく楽しい。

そして、いま私は『斑鳩』をプレイすることが出来る。
このなんと幸せなことか!
縦置きモニタはまだまだ現役。
私がこうしてプレイする限り、縦置きモニタが捨てられることはないだろう。
そうすると、私の部屋にはいつまで経っても机が置けないのであり、つまりスペース的にも時間的にも勉強は捗らないことになる。
たいへん弱ったことである。


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