押忍!闘え!応援団_4

苦手な話 2005_08_05

 

この『押忍!闘え!応援団』の魅力を「応援団」というキーワードだけで説明することには無理があるかもしれない。
私はこれから苦手な音楽の話を書こうかと思っている。
その為にはまず私が最近感じていることを書かねばならない。

ハードディスク付きDVDレコーダーを購入してからというもの、私はとてもせわしなくなった。
なぜならば、CMを飛ばすことが出来るからである。
60分の番組が50分以下で終わる。
そうすると、単位時間あたりの喜び量、というか、平均喜び量が高くなる。
単純計算すれば約20%アップということになるだろう。
何もハードディスクレコーダーだけのせいというわけではないのだが、世の中の平均喜び量はどんどん高くなっているのである。
サッカーとかラグビーだって、点が入りやすいようにルールが変わるでしょ?
競争社会は恐ろしい。
娯楽がユーザーを奪い合う時代にあっては、娯楽も進化を続けていくのである。

一方で音楽に目を向けると、音楽って基本的に進化しようがない。
流行はあるにせよ。
統計を取ってみればアップテンポな曲が増えた、とかはあるかもしれないのだが。

私は多年音楽は単体としてはゲームの敵だと思ってきた。
あれはラクすぎていけない。

ところが、音楽は進化しようがないので、音楽単体では贅沢になった人間の脳みそを満たすことが出来なくなる。
近頃、音楽だけをゆっくり聴く、なんて滅多にないでしょ?
たいていの場合、何かをしながら聴いているはずである。
人間というのは常に脳に満足いく刺激を与えたい生き物なので、雑誌を読む+音楽、通勤(倒れないように立っている)+音楽、ウェブサーフィン(この言葉嫌い)+音楽、という具合に脳の余った処理能力を埋めているのだ。
音楽は生活に必須ではあるが、単体としての相対的価値はむしろ減少しているのではないか。
これが私がこれから『押忍!闘え!応援団』について書くための予備知識である。
予備知識といっても単に私がそう考えているだけの話なのだが。

『押忍!闘え!応援団』は日本語による音声付きのリズムゲームである。
私は採用されている曲をほとんど知らなかった。
いったい175Rって誰やねん。
130Rなら知ってるけど・・・、という具合であった。
当然ほとんどの曲は本人が歌っているんだろうと思って大満足で聴いていたのだが、エンディングを見て初めて175R以外は全部そっくりさんが歌っていることを知ったのである。

このそっくりさんを含めた曲の質が高いから、単純に音楽を聴く喜びが大きい、ということは言えるだろう。
それにゲームがプラスされ、相乗効果が生まれる。
そこら辺が従来のリズムゲームとは違う。
従来のリズムゲームは音楽を聴く喜びをかなり減少させたものに、あるいはあまり馴染みのない洋楽に「+ゲーム」で構成されていた。
つまり、「音楽+ゲーム」の音楽から得られる喜びを大きくしても全体としては素晴らしくなるということだ。
そこにタッチスクリーンという新たな要素が加わってくるんだから、面白くないわけがない。

『押忍!闘え!応援団』では本物のアーティストは使っていない。
きっと著作権関係が大変なんだろう。
それとも単に安くあげたのか。
そのアーティストのファンの人からするとガッカリかもしれない。
いまはゲームがメジャーな音楽を使わせてもらっている状態だから、それも仕方ないんだろうなと私は思っている。

しかし、音楽業界だってそう安穏とはしていられないはず。
彼らも音楽の価値を高めなければならない。
そのうち向こうからゲームに頭を下げてくるようになるかもしれない。
ボーカルだけじゃなくて、バックバンドの一部をプレイヤーが担当するようなインタラクティブ性のある曲を売る時代が来るんじゃないか。

『押忍!闘え!応援団』はそんな可能性を感じさせるゲームなのである。
ゲームって、凄いんだぜ。





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