ビックリしたな。 なんだろう、これ。 自分で書いたのかと思った。 しかし、書いた記憶はない。 もっともそれ以前に、これほどの想像力も、知識も、構成力も、エロユーモアさえも私は有していないのである。 『CROSS†CHANNEL』というエロゲーがある。 ペンネームは違うけど、『家族計画』を書いた「山田一」と同一人物がシナリオを書いたと世間では噂されている。 事の真偽は知らないが、いずれはやらねばならない作品だった。 ただ、気が乗らなかった。 たくさんの文章を読むにはエネルギーがいるのだ。 ほかっておいたら、いつの間にか発売から一年近く経過してしまったようである。 『CROSS†CHANNEL』には黒須という主人公が登場する。 この男のしゃべること、考えることに私は驚いたのである。 だって、私が考えていることとピッタリ一致していることが多かったから。 私には凄惨な幼児体験もなければ、養護学校に入れられた経験もないが、考えていることは驚くほど同じだったな。 セリフ回しまで似ているような気がして、自分が書いたのかと思ったぐらいである。 そんなことあるわけがないのだが。 最後のほうなんか、もう胸が痛かった。 感動するのとは違う。 一筋の涙すらも出ない。 イタイ。 たった一人で無限ループの世界に残った黒須君は痛々しかった。 というか、自分が糾弾されているのかと思ったな。 物理的に左胸が痛かったのは、長時間連続プレイで体が弱っていたのかもしれないが。 これほど自分の考えと符合しているゲームは逆に辛い。 ゲームの中で主人公の考え方が否定されると、それは即ち私が否定されることにもなるからな。 心にも体にも悪いゲームだった。 朝の4時半、空が白んでくる時間にようやくエンディングを迎えて、「俺にどーせーちゅうねん!」とつぶやきながら寝る羽目になった。 月曜の朝のことである。 |