Sumire すみれの空、NS版

なりたい自分を言葉にする 2023_01_08



私は最近よく思うのである。
母親が死んだ年齢まであと大体6000日ぐらい、親父が死んだ年齢まであと8000日ぐらいだなって。
そこそこ順調にいったとしても、それぐらいで私は死ぬのだ。
それまでに何をしたら満足のいく人生だったと言えるのか?
答えは全く見当たらない。
この歳になってしまうと特にやりこともないので、満足しようがないんだよ。
弱ったなあ、と思いながら今日が終わっていく。

ところで。
全くの偶然だった、この『Sumire すみれの空』に出会ったのは。
任天堂からゴールドポイントの有効期限が切れるというメールが届いたので、何かセールになっているものを買おうとして、たまたま目についただけ。
まさかこんなお話だとは思わなかった。

ゲームとしては全くなんてことはない。
ただフラグを立てて回るだけのアドベンチャーゲームである。
技術的に、あるいは見た目に特に優れたところはない。
もうホントにお話だけ。

主人公は見た感じ10歳ぐらいの女の子。
大好きなおばあちゃんが亡くなって、両親が離婚して、友達に裏切られて落ち込んでいる少女である。
そこへ喋るお花がやってきて、今日一日しか生きられないから、今日をとびっきりの一日にして欲しい、と頼んでくるのだ。
主人公はあんまり乗り気じゃないのだが、茎を切ってしまった負い目があるからしぶしぶお花に付きあってあげる、というお話。
といいつつ、実は主人公を現実に向き合わさせようとするんだけどね、お花は。
短いお話なので、これ以上は書かないことにする。

このゲームの中で一番伝えたいことは、私が思う一番伝えたいことは、やりたい事やなりたい自分を言葉にする、そしてそれに向かって努力しよう、ということである。
やれなくても、なれなくても、別に構わないから。
なんとなく思っているだけだと、結局やらないで時間は過ぎて行ってしまう。
言葉にすることによってやるべきことがはっきりするし、それを書き出すと言葉が自分を縛ることにもなる。
何かしらをするにはタイムリミットがあって、逆算してやり始めないと間に合わないんだ。
歳を取るとホントに痛感する。
このゲームには若い奴らに教えてやりたいメッセージがこれでもかというぐらい散りばめられているのである。
感触としては、宮崎駿の「風立ちぬ」に近い感じかな。

こんなショボいゲームにこれほどのメッセージを詰め込めるとは恐れ入った。
自分で操作するからこそ、メッセージを強く受け取ることが出来るゲームの可能性を改めて感じさせてくれる作品だったよ、これは。
素晴らしい。


戻る