シュタインズ・ゲート

頭がイイのも考えもの 2010_04_24

 

私が卒業したようなしょっぱい大学だと電気系は割と人気がある、というか、予備校が出してる予想偏差値が他の学科より高い。
これはおそらく就職しやすいイメージがあるからだろう。
実際、その通りでもある。

ところが、かのT大なんかだと話がまるで違う。
電気系はもっとも人気のないグループに入ってしまうのだ。
どうやら頭の良い人間には、泥臭いエンジニアリングが魅力的に見えないらしい。
電気系の教授陣も質の高い学生が志望してこなくて困っているそうである。
学生を獲得するために、ホントは興味ないんだけどロボット工学もやってるフリをするなんて話も。

じゃあ、人気があるのはどういうところかというと、宇宙物理なんてのが人気だそうだ。
どんなことを研究してるのか私は知らないのだが。
聞くところによると、実際には確かめようもないことを数式を頼りにああでもない、こうでもない、と考えているそうである。
極端に頭の良い連中にとっては、ワケの分からないことを研究する方がより高尚に思えるようだ。

ところで、このところXBOX360の『シュタインズ・ゲート』をやっていた。
序盤は面白くない、と噂には聞いていたが、ホントに面白くなくて2章で挫けそうである。
主人公がパラノイアが入ったフリをしている厨二病?といった設定になっていて、話が長いこともあってウザさが尋常じゃない。
大昔のエロゲーにはよくいたタイプの主人公で特別目新しくもないしな。

あまりにも面白くないので、私はゲームと関係のないことを考えていた。
頭の良い連中も気の毒だなあ、とか取り留めもなく。
折角いろいろ考えても、それがホントかどうか自分が生きているうちには大抵分からない。
小説にせよ、映画にせよ、ゲームにせよ、要するにタイムワープできれば物語的には構わないわけで、研究成果はせいぜい物語にリアリティを持たせるために用いられるだけである。
いや、だけじゃないか。
リアリティを持たせるために、実在する研究機関までが世界支配を企んでいることにされちゃった。
ブラックホールが発生するかもしれない実験をやろうとしているあたりから、そういう発想が出てきたのかな。
科学的探求心を満たすために全人類が巻き添えになるのは確かにかなわん。
あの話にどれぐらい信憑性があるか知らないが。

こういう分野に進んだ連中は就職も大変だ。
博士号を取っても全員が大学に残れるわけじゃない。
学生は毎年入ってくるが、パーマネントのポストは数年に一つほどしか空かないからだ。
かといって、研究を続けさせてもらえる企業なんてのはほとんど存在しておらず、身分の不安定なポスドクになるか、心ならずもかつては高尚でないと思っていた分野に進むより他にない。
ポスドクを5年10年とやっているうちに、転身する機会を逸してしまうこともあるようだ。

頭がよすぎるのも考えものだな、とかゲームをしながら考えていた。
私に言われる筋合いはないだろうけど。



<後日談 2010_09_09>
地方大学の先生に聞いたところ、今どきは地方国立大学でも電気科は人気がないそうだ。
いま人気があるのはバイオらしい。
やはり就職しやすいからのようだ。
私が学生の頃はバイオは農学部の範疇だったが、今では工学部の中にバイオの専門学科を設けている大学が多いそうである。
知らないうちに大学もどんどん変わってるな。


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