我々が愛したセガはもはや存在しない。 昔のセガのゲームはお世辞にも心配りが行き届いているとはいい難かった。 でも、出来が悪いからこそ応援したくなったもんだ。 今のセガはまあまあ遊べるゲームを創るようになったけど、特に尖ったところはない。 名前は同じでも別の何かになってしまった。 ゲーム業界は人の入れ替わりが激しいので、実際のところ、別物だと考えて構わないのだろう。 それでもコンテンツは残る。 一応ですよ、『ソニックフロンティア』をプレイしたのは。 セガの残滓としてね。 やってみたら、もう最初に起動したところからして違う。 ハードディスクにコピーせずに、いきなりチュートリアルが始まるのだ。 一番簡単な3Dコースのタイムアタックをやらせて、その裏でコピーしているのである。 やるじゃん!って思ったな。 ソニックのスピード感を伝えるには、簡単なコースを繰り返しやらせるのが最適なんだけど、無駄なロードタイムをそれに充てるのは素晴らしいアイディアだ。 その後プレイを進めていくと、なかなかよくできていると気づかされた。 オープンフィールドだけど、そんなに迷うことはない。 マップの開放がチュートリアルになっていたり、次の目標が明示されたり、かなり親切な設計になっていた。 オープンフィールドとはいっても、場面場面で2D風になったり、行動範囲に制限のある3Dになったり、ほどほどに限定してあるのもプレイしやすい。 こんなセガがあるの?って感じだったな。 ゲームの内容も私がやった3Dソニックの中では群を抜いて素晴らしかったが、それはまた別に書く。 ただし、もうちょっとだな、と思うところもあった。 ボス戦の最後にQTEが入っていたり、どうでもいいミニゲームが難しかったり。 今どきムービーはご褒美じゃないので、失敗したからといって、長いボス戦をもう一回やらせてはいけないんだよ。 ムービーを挟むなら一回でクリアさせないと。 ミニゲームに関しては実は難しくないんだけど、先が見通せないから難しく感じることはあった。 今の時代は先が見通せないと、いま努力することが無駄に感じられてしまう。 心配りが行き届いている、と表現するにはもう少し。 昔のセガにだったら、こんな野暮なことは言わないけど、今のセガになら言ってもいいだろう。 単なる一ゲームメーカーに過ぎないからね。 |