私はあんまりオカルトものが好きじゃない。 特に読むだけのアドベンチャーの場合は。 読むだけだとゲームがないから、こっちとしては展開を予想するところで創り手と勝負するしかないでしょ。 ところが、オカルトだと何でもありになっちゃうから、勝負にならないんだよ。 予想しようがない。 そんなもん、お前の差し加減やんけ!と悪態をついて、大抵はコントローラーを投げつけることになる。 携帯ゲーム機だったら、ゲーム機そのものをね。 しかしもちろん、別の部分で勝負してくれるなら、オカルトでも何でも構わない。 PSVita用の『死印』はオカルトものだけど、凄く納得できて、かつ面白かった。 これはどう説明したものか。 面倒だからあまり書きたくないのだが、タイトルでもある「死印」ってのは怪異に刻まれた痣(あざ)のことである。 この痣が刻まれると、そのうち死んじゃうので、死ぬ前に痣を刻んだ怪異を倒しちゃおう、というようお話である、これは。(後々いろいろあるけども) 「流行り神」なんかと違って、自分自身が当事者でありながら、次々と異なる怪異と戦わなければならないあたりが斬新だと思ったな。 更に同じ境遇の仲間がその都度加わって、その仲間の使い方が謎解きになってるあたりも、余所ではみたことがない気がする。 これは予想に反して目新しい作品だった。 このゲームはテキスト中心ではなくて、基本的にはマップ上を探索するオールドスタイルのアドベンチャーゲームである。 細かい説明は省くが、この探索パートで必要なことは全て教えてくれる、というか、手の内は全て明かしてくれるところが良かった。 そんなの狡い!と罵りたくなるシーンはなかったな。 全部見つかるまで怪異の戦いは始まらないので、そこは安心できる。 必要なモノと情報を手に入れたら、あとはそれをどう怪異との戦いで表現するか。 謎解きを、自分とパートナーにどのアイテムを使わせるか、で表現するのだ。 この点もなかなか面白かった。 更に、ただ倒すだけだとパートナーが死んでしまうので、怪異を救済するような方法を考える必要があるところも上手く出来ていた。 そのヒントもまた全て手にしているのだ。 これはホントに良かった。 ちゃんと正々堂々勝負してくれている実感があった。 怪異を救済してクリアしたときに、強い充足感があったもの。 大したテキストもないのに、仲間を助けられて良かったって気持ちになるのは、ちゃんとゲームしてたからじゃないかな。 こういう組み立てだったら、オカルトでも全然文句ないです。 『真流行り神2』の科学ルートなんかよりは、断然これの方がイイ。 続編があったら、是非やりたいもの。 プレイしているときは感じなかったけど、思い返すと作りは相当安そうだから、続編もあり得るんじゃないかな。 今どきのPSVita用にしては珍しく1万本以上売れてるらしいしね。 |