アマゾンのランキングを見ていて、たまたま開いたゲームの紹介文に「田中ロミオ」って書いてあった。 5本あるシナリオの一本を書いているのかと思って注文してみたら、全然違ってた。 おまけノベルの1つを書いているだけだったのである。 ガッカリしたので発売後、しばらく放っておいた。 しかし、やってみたら意外に良かったな、『セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜』。 話の中身にはあまり触れないように書こうと思っているのだけど、どうしても話に触れざるを得ない部分もあるでしょう。 今後プレイする気がある方は、以下を読まないように。 導入はあんまり感じ良くはない。 幼なじみが飛び降り自殺して、後追い自殺を試みたヒロインが後遺症で15分以上記憶を保てなくなった、というところから物語は始まる。 主人公はその二人のかつての親友。 舞台は事件の5年後、ヒロインの頭はまだ高校生なのに、主人公は社会人である。 自殺からスタートしている時点で、今どきの若者に媚びてる感じがして、最初はイヤだったな、私は。 主人公は15分しか記憶が保たないヒロインが綴る現実か現実ではないのか分からない物語を、あらすじカードを使って組み立てていく。 最初は何が真実で何が嘘なのか、あるいはそれが誰の経験なのか、いつの経験なのか、まるで分からない。 中盤ぐらいまで、ホントにこれで良いのかな、と思いながらやってた。 あらすじを作る作業をやるのに、それがなんの意味を持つのか分からないで良いのか?という話である。 普通やる気にならないだろ。 私が投げ出さなかった理由は単に簡単だったからだ。 でも、訳が分からないからこそ、考える余地はある。 ああなのかな?、こうなのかな?、と考えるよね。 そこが大事なんだな。 最後の最後までやると、色々事情が分かってきて、大体の輪郭は見えてくる。 思いやりやら、勘違いやら、願望やら、思い込みやら、薬の副作用やら、色んな事がたまたま重なってああなっちゃったんだ、と分かってくるのである。 実際にはほぼ一本道になってるから、プレイヤーが接する情報は固定されていると言っていい。 それでも、ゲームに描かれた架空のお話とプレイヤーが考えたお話の間に果たして軽重があるのか、と言ったらそれは無いだろ。 ゲーム中のお話がセカンドノベル(何かしらを元にして創作されたお話)であれば、プレイヤーの中にあるものもまたセカンドノベルなんだから。 プレイヤーにも創作側に回る余地があるという言い方をしてもイイ。 私流に言うと、ゲームへの寄与度が高い、ということになるけど。 プレイヤーに寄与分を与えるようなゲーム作り。 これはなかなか素晴らしいんじゃないか。 プレイし終えてみると、物語を自分のものにしたなっていう充実感はあったな。 創作者が考えている物語と一致しているのかは別にして。 悲しいお話だけど、それほど読後感も悪くない。 むしろ頑張ってこうよって気になった。 いや、なかなか面白かったよ。 <後日談 2010_08_19> ファーストノベル(おまけ小説)を読むとやけに「共感覚」の話が出てくる。 本編の方では気づかなかったが。 一部不可解なヒロインの振る舞いも、共感覚を用いると説明が可能になる、とかいう話なのかもしれん。 |