逆転裁判

スケールメリット 2001_11_25

 

「スケールメリット」という言葉がある。
規模が大きいほど効率が良くなって有利だ、というような時に使うことが多い。
では、規模が小さい方が有利、という場合はなんという言葉をあてたらいいのだろうか?
字面だけ見たら「スケールメリット」という言葉を使ってもいいような気もするのだが。

『逆転裁判』というゲームは予想を遙かに上回る面白さだった。
普通、面白いという評判を聞くと、逆に「今一つだね」なんていうことになるものだが、私は完全にハマってしまったのである。
この3連休は『逆転裁判』に費やされてしまったのだ。
傍目には、いい歳こいて引き篭もりか?と思われてしまいそうなのだが、それに近いことも否定できない。

『逆転裁判』の中に出てくる裁判の仕組みやストーリー展開はメチャクチャである。
お話にならない。
しかしそんなことを捉えてケチを付けるのは間違いであって、むしろ素直にゲームデザイナーの創ったルールに従うべきである。
その方が楽しいのだから。
こんなゲーム見たことないよ。

私は、こんな凄いゲームをGBAで創るのは勿体ないよ!と思った。
GBAは画面が見づらいし、データ量も制限されるし、是非テレビ画面でプレイしたい。
出来ることならば、PS以外で。
と思って考えてみたところ、なるほどGBAでなければならなかったのか、という結論に辿り着いたのである。

おそらくこれを大容量メディアで製作するとしても、5800〜6800円程度の定価しか付けられない。
しかし、いざ作るとなると、シナリオの本数で2倍、テキスト量で4〜10倍程度は必要になるだろう。
更にムービーや音声も入れるとなると、製作費は数割り増し程度では済まない。
企画の段階では海のものとも山のものとも知れぬ、この『逆転裁判』にそんなリスクを賭けられるのか?
ゲームが売れない昨今、かなり難しかったのではないかと思う。

最近ゲームの価格が上昇している。
ほんの一昔前なら、どう考えても「5800円」だったゲームに「6800円」がついていることが多い。
開発費がかさんでゲーム開発が苦しくなっているのだろう。

そういった中で唯一GBAだけが、制作費と収益のバランスが取れているのだ。
『逆転裁判』の開発メンバーはわずかに10名だそうである。(『逆転裁判』のHPに書いてあった)
GBAには開発規模が小さいが故のメリットがある。
このメリットを生かすべく、キラリと光るアイディアを持つゲームが、今後もGBAに登場する可能性は非常に高いのではないか。
いい加減目が疲れるので、GBAで素晴らしいゲームを創るのは止めていただきたいのだが・・・。


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