『OPUS-地球計画』は極めて後味のいい作品だった、という記憶はあった。 同じシリーズだと思われる『OPUS: Rocket of Whispers』がセールになっているのを見て、とりあえず買っておこうと思ったのはずいぶんと前のことである。 ずっと放置されていたのだが、今になってようやくプレイできた。 今回は宇宙葬を行うためにロケットを打ち上げるお話だという。 なかなか設定は奇抜でしょ。 これは斬新なゲーム、少なくとも斬新なお話であろうと私は予想した。 しかし、実はそうでもなかった、という私の感想をこれから書く。 舞台は大昔に地球から移民した人々が住む星。 地球がどこにあるのか既に分からなくなってしまっていて、地球そのものが信仰の対象になっているような世界である。 その点は『OPUS-地球計画』と似通っている。 しかし、パンデミックが起きて、主人公以外の人類が少なくとも歩いて行ける範囲では全て死滅してしまった。 そこへコールドスリープで生き残った地球教の巫女がやってきて、宇宙葬をやろう、ロケットを打ち上げようと主人公に持ちかけるのである。 ロケット工場の跡取り息子だったが、ロケットのせいで両親を失って、ロケットにかかわりたくない主人公に。 ゲームはどうって事ない。 要するに、荒廃して雪で埋もれた街を歩き回って部品を集めるだけである。 価格が少し高い事が示すように、前作より多少手が込んではいるものの、やる事は特筆に値しない。 問題はお話の方だ。 魂を宇宙に返すためにロケットを大気圏外に打ち上げる、というのだが、それは思ったほど重要ではなかった。 問題なのは生き残った二人。 南へ逃げた人たちがどうなったのか分からない。 もしかしたら、この星で生きているのはこの二人だけかもしれないのだ。 人間はひとりでは生きてゆけない。 二人で助け合って生きていくしかないじゃん。 でも、だからといって、知らない人といきなり上手くやってゆけるかといったら、それまた違うだろ。 だから、宇宙葬が必要だったんだ。 たまたま生き残った二人が、かけがえのない二人に変わるための儀式みたいなもんなんだな、宇宙葬は。 そう思って物語を俯瞰すれば、実は在り来たりであるとも言えた。 しかし、それが故に素直に感動できるお話でもあった。 奇抜な設定とは裏腹に、普遍的な内容だからなんだろう。 相変わらず後味はいい。 満足のいく作品だった。 とりあえず、人目を惹くために奇抜な設定を表に出しておく、というのも悪くはないんだろうね。 |