このところずっと私は「置き換えの同一性」という話をしょっちゅう書いている。 我ながら同じことばっかり書いていて芸がないと思うのだが、今のトレンドはまさに同一性なので、書かないわけには行かないのである。 これは致し方ない。 もちろん、「同一性」の話を書かざるを得ないのはDSやWiiの話を書いているからなのだが、実は私が初めて同一性について書いたのはWiiでもなければDSでもなかった。 私が一番最初に書いたのはPS2用の『オペレーターズサイド』でのことだったのである。 もっともあのときは「シンクロ感」と書いてしまったが。 文中には「全く同一なのである」と書いたから、言い訳にはなるであろう。 いま思えば、SCEは2003年1月の時点でもうあそこまでいっていたのである。 アクションまで声で指示を出すせいもあって印象としてはやや隠蔽されてしまっているが、コンセプトとしてはDSやWiiに極めて近かった。 あそこまで到達していながら、DSにもWiiにもたどり着けなかったのが不思議なところである。 たとえそれが偶然であったにせよ、DSが発売されるまで2年近くアドバンテージがあったのに。 やはり勝っているうちは保守的にならざるを得ないということなのか。 当時の私なら、ざまあみろ、と言ってやるところだが、今のPS3の売上を見ると、多少の同情は禁じ得ない。 『オペレーターズサイド』には続編が予定されていたはずだ。 開発者募集の広告を目にした記憶がある。 しかし、結局発売されなかったな。 評価が高かった割に値崩れしちゃったからだろうか。 そういえば、私も発売後一年ぐらいしてから特価になってたのを買ったんだったな。 すっかり『オペレーターズサイド』のことなんか忘れてしまっていたのだが、最近になって「これはっ!!」と思うタイトルのゲームに出会った。 『遠隔捜査』。 これは「オペレーターズサイド」的な発想のゲームなのではないか?と思ったのである。 だって、遠隔で捜査するんだよ。 調べてみると、拘留所に入れられた主人公が弁護士と接見することで、捜査を代わりにやってもらうゲームらしいということがわかった。 しかも、発売元はSCEである。 ますます「オペレーターズサイド」的だな、と期待が膨らんだ。 しかし、やってみたら、いきなり考え違いだったことに気付いた。 全編音声付きで進行していく。 主人公までも。 おまけに心の中の声まで。 超ウザイ。 同一性の観点からゲームを創ったのであれば、少なくとも主人公の声は入れないわな。 このゲームは同一性の観点から創られたものではないのである。 当然捜査も「遠隔」といいながら、元カノの弁護士を直接操作して証拠集めをするだけのことである。 遠隔でもなんでもない。 その部分においては、プレイヤーは弁護士役になってしまうのだ。 証拠集めはどうでもいいようなパートなので、いっそのこと情報だけ持って帰ってきてくれても良かったのに・・・。 もうガッカりんこ。 りんごももか姫だってガッカリですよ、これまた勝手な想像ですが。 勝手に期待してたのが悪いんだけど、だってタイトルがタイトルだからな。 期待してもやむを得なかったでしょ。 あり得ないほどのがっかり感です。 こんなのは詐欺だと叫びたい。 <追加> このゲーム、フル音声のせいか、異様にテンポが悪い。 やり直しになりたくないので、取り調べで間違えたくない、と思うあまりプレイすること自体をしばらく放棄していた。 トライ&エラーをプレイヤーに求めてもいいんだけど、その負担を何で担保するのか、という発想が欠けていたな。 携帯ゲームなんだし、プレイヤーの時間を無駄には使わせない、という心配りが欲しい。 |