新しいゲーム機が発売された直後に販売されるゲームには役割がある。 プラットフォームフォルダーともなれば、そのゲーム機のポテンシャルをプレイヤーに伝える作品をリリースしなければならないだろう。 そういう役割を担った作品の一つにDSで発売された『アナザーコード 2つの記憶』がある。 「さわれる推理小説」という触れ込みが表現に偽りありだったため、発売当初は非常に評判の悪かったゲームだけど、私は非常に高く買っている。 DS発売から今日まで続くゲーム界の流れをわかりやすく予見させてくれるゲームであった。 あれを見て初めてDSというゲームマシンの進む方向がわかったし、Wiiのやろうとしていることも理解しやすくなった、というのは私にとって紛れもない事実である。 そんな「アナザーコード」に続編が発売された。 Wii用の『アナザーコード:R 記憶の扉』。 これは期待が膨らむところである。 ゲーム内容は極めて素直なものになっている。 基本はアイコン操作で、一部の謎解き以外はAボタンしか使わせない。 置き換える動作をプレイヤーの入力と同一にする。 あるいは、行為を置き換えるだけじゃなく、Wiiリモコンをそのままゲームの中に持ち込んでしまう。 Wiiではこうあるべき、というお手本のような構成になっていた。 しかし、このゲームが発売されたのは2009年になってからである。 Wiiが発売されて既に2年以上が過ぎていた。 目新しさは無いな。 このゲームは2007年8月25日が舞台になっているんだけど、それぐらいに発売されていたら、またちょっと違った意味を持っていただろう。 ひょっとすると、当初は2007年に発売するつもりだったのかもしれないね。 繰り返すけど、いまは2009年。 このゲームはもはやWiiに対する特別な役割を担っているワケではない。 発売スケジュールの穴を埋める、という役割は別にして。 言い換えれば、このゲームは解放されたのである。 役割を考えなくてイイなら、やはりこのゲームを素直に読んであげたい。 もちろん「さわれる推理小説」ではなく、「さわれる小説」として。 読み物として捉えれば、これはなかなか面白かった。 特に今の私には。 |