ロストマジック

新しいデバイスから新しいゲームは生まれる 2006_02_06

 

『ロストマジック』というNDSで発売されたゲームがある。
タイトーから発売されたということもあって全く売れていないそうだが、私は注目していたタイトルだ。
なんといっても、NDSをパッと見たときに誰でも思いつく二つの要素をゲームの核に据えている。
二つの要素というのは、前にも書いたけど、「魔法陣を描かせること」と「リアルタイムシミュレーションであること」である。

実は「魔法陣を書かせること」は「リアルタイムシミュレーションであること」と密接に関係するんだけど、先にリアルタイムシミュレーションについて書くことにする。

NDSがなぜリアルタイムシミュレーションに向いているかというと、タッチスクリーンによって操作が簡単になるからだ。
十字キーにせよ、アナログキーにせよ、ユニットを掴んだり、切り替えたりすること自体に習熟を要するため、本質的な部分以外での障壁が高くなる。
この障壁をタッチスクリーンによって下げることが出来るだろう、というのは容易に想像がつくところである。
前に『君のためなら死ねる』の時にも書いたけど、タッチすること自体はゲームにならない。

一方で「魔法陣を描くこと」はゲームなんだな。
キャラ選択→魔法を選択→対象を選択、を文字で表現していたときと違って、ここがゲームになる。
これはリアルタイムシミュレーションだと尚更重要になるんだ。
だって、早く正確に描く事が求められるからね。
リアルタイムであることと、魔法陣を描くことは誠に相性がいいのである。

「魔法陣を描かせること」と「リアルタイムシミュレーションであること」は誰でも思いつくけど、この2つを同時にゲームに組み入れたところは立派だと思うな。
このゲームはNDSの他のどのゲームよりも光り輝いている。
魔法陣を描かせようとすると、必然リアルタイムシミュレーションにならざるを得なかったのかもしれないが。

この『ロストマジック』はやっすいゲームです。
一目見て、色塗りテキトー!ってビックリするよ。
ストーリーも驚くほどありふれている。
処理落ちも酷い。
BGMの評価はようやらんけども、SEに至っては妙に甲高くて不快ですらある。
しかし、そんなことはこのゲームを語る上で些細なことに過ぎない!素晴らしい!!と感じられる。
新しいデバイスから、新しくかつ素晴らしいゲームが生まれてくるんだということがよくわかる作品だ。

任天堂がやるならともかく、タイトーあたりからこんなものが生まれるなんて思いもしなかったな。
タイトーだからということで売れないというのも気の毒な話だ。
せめて、今後も創られるであろうこの分野のパイオニアとしての名誉ぐらいは与えてあげたいものである。



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