この世界は守らなくてはならない

この世界は守らなくてはならない '99_06_09

 

エンディングを向かえて丸一日が経った。
もう一度エンディングが見たくなって、もう一回やってみた。
そして、この思いを新たにした。

FF8には、ラグナというキャラクターが出てくる。
序盤から中盤にかけて、主人公HIV(スコール)達は突然意識を失って、ラグナ
チームに話が移り変わる。
話が全然見えてこないし、主人公達と同じジャンクションを持っていたりで、不可
解な気持ちになったものだ。
しかし、このラグナというキャラクターは非常に魅力的だった。
近頃まれにみる『いい奴』だったのだ。

私はラグナを見ていて思った。
はたして彼はゲームの世界以外で生きられるだろうか?

もちろん現実の世界では生きられない。
もしいたとしても、生の人間としては共感できないかもしれない。
私達の心はあまりにも荒廃している。

映画の世界だったらどうだろう?
やはりちょっと苦しいんじゃないか。
いまの映画は彼を描くには大仰すぎる。

小説だったらどうだろう?
あるいは、いけるかもしれない。
しかしながら、彼の言葉は、言葉としてはあまりにも陳腐で、多くの人の心には響
かない様な気がする。

やはり、彼はゲームでしか生きられない。
プレイヤーは彼を動かすことで、彼を知る。
マシン性能の限界を感じさせるつたないモデリングの体を操って、自分の気持ちを
表現しようとする彼を知る。
この物語の中で、精一杯生きている彼を知るのだ。

エンディングムービーを眺めていて、少し怖くなった。
特にホームビデオで撮影したように描いた部分では、キャラクターの動き・表情が
非常に素晴らしかった。
素晴らしすぎた。
これからもラグナは生き続けられるのだろうか?

我々は守らなくてはならない。
ラグナが生きることの出来る世界を。
このゲームの世界を。


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