Zombie Rollerz: ピンボール・ヒーローズ、Apple Arcade版

効いてるのは重力だけ 2021_03_11

 

いきなりなのだが、私はピンボールゲームを面白いと思ったことがない。
でも、私より少し上の世代の人にとってはキラーコンテンツだったらしい。
スペース的にも価格的にも、自分で本物を所有することが出来ないから憧れみたいなものがあったのかな。
ピンボールゲームをやりたくてPC-8001を買った、なんて話をよく聞かされたものである、昔は。
42年前に168,000円だったんだ、PC-8001って。
今で言ったら、35〜40万ぐらいの価値かな。
家電量販店なんか当時はないから、ほぼ定価でしか買えなかった時代で、ですよ。
ピンボールゲームで遊べるってのは、それぐらいの価値があったらしいのである。
しかし、繰り返しになるけれども、私は今まで一度もピンボールゲームが面白いと思ったことはない。
もちろん、色んな作品を遊んできた上で。

なんでこんな話を書いているのかというと、Apple Arcadeに『Zombie Rollerz: ピンボール・ヒーローズ』ってゲームがあったからである。
これはピンボールをベースした、責めてくるゾンビを倒すタワーディフェンスのようなゲームである。
一見面白そうだった。
評判もすこぶるイイ。
実際、起動したゲームを見ても面白そう。
でも、やってみたら全然面白くないの。
面白いと感じない自分が不思議だった。

その時に『TETRiS EFFECT』をやってみて、あっ!と思ったんだ。
ピンボールって間をコントロールできないんだって。
ボールを打ち出す角度はボールの位置で決まる。
自分がコントロールできるのはフリッパーを動かすタイミングだけ。
そのタイミングは何で決まるのかというと、これはもう重力で決まる。
弾かれて初速を持っていることもあるが、基本的には重力で戻ってくるわけである。
これはプレイヤーが上手くなっても変わらない。
例えばシューティングの照準であれば、上手くなることによって早く合わせられるけど、ピンボールはボールが欲しい位置に来るまで待つしかない。
これが面白いと感じない原因なのではないか。

簡単には思い通りにさせないのがゲームなんだから、別にそれが悪いわけではない。
アナログなピンボールゲームにおいては、重力でボールが戻ってくることが得をする要素の一つにもなっているのだろう。
しかし、テレビゲームにおいては、ピンボールをシミュレートするために重力を計算しているに過ぎない。
テレビゲームの世界で、それは得でも何でもないはず。
ピンボールという体裁を取るために、むしろ損をしているのではないか。

この結論に辿り着いたとき、まあまあ納得できた、『Zombie Rollerz: ピンボール・ヒーローズ』を面白いと感じないことに。
あるいは、今まで遊んできたたくさんのピンボールゲームを面白いと感じなかったことに。
だって、何より私は待たされるのが大嫌いなんだから。


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