どんな人の生涯にも春夏秋冬があるという。 長い人には長いなりの、短い人には短いなりの。 しかし、自分の人生を振り返ってみると、夏があったのかどうか、どうにも疑わしい。 春のうちから秋の装いで生きてきた気がするのだ。 かといって、これから夏が来るとも思えないし。 死ぬ直前に自分の人生を振り返ったときに、自分にも春夏秋冬があったと果たして思えるのだろうか、などと私は日々考えいているのである。 そんな私であれば格別、『おじいちゃんの記憶を巡る旅』というタイトル名をを見たときに、これは感動しちゃうぞ、と思うのも無理からぬ事である。 言葉を一切使わずに、おじいちゃんの人生を振り返るというのであれば尚更。 これは買うしかないと思ったが、Steamを確認したら、こっちの方が安かった。 このゲームの原題は『OLD MAN'S JOURNEY』である。 ところがしかし。 これは完全な肩すかしだった。 ゲーム部分に期待していたわけではないが、それにしたってどうでもいいようなパズルゲームがメインになっている。 道を引っ張り上げたり下げたりして、おじいちゃんの通り道を作っていくのだ。 おじいちゃんが今いる道は動かせないから、おじいちゃんをどこに置いておくか、に多少は頭を使うものの、それが特に面白いとは思えないな。 その点はまあいいとしよう。 そして、ある地点まで来ると、おじいちゃんが過去を振り返るという体裁でエフェクト付きの一枚絵が表示される。 若い船乗りが恋をして、結婚して、子供が出来て幸せだったのに、航海が忘れられず・・・みたいなお話が言葉なしで紡がれていく。 これがまた超絶ステロタイプなお話で、なんら得るものはない。 ステロタイプだからこそ言葉なしでも理解できるのだろうが、簡単に分かるのであれば、あんまりこっちに取り分はないとも言える。 そもそもだよ、お前が悪いんだろ。 妻子を置いて出て行きやがって。 そんなもん共感できるわけないじゃん。 私の人生とオーバーラップする部分はこれっぽっちもないよ。 こっちはもう感動する気満々でやり始めたんだけどね。 これほど外されるのも珍しいよ。 これは参った。 すぐ終わる事だけが救いだったな。 |