『有罪×無罪』は凄くイイゲームだったな。 ゲームの面白さもさることながら、裁判員制度に真正面から挑んだところがすばらしい。 しかも、クリアしたあと気持ちよかった。 人間はできればいい人でありたいと願っている生き物であることを思い出させてくれたな。 あれをやると、裁判員になってもイイかな、という気になるから不思議である。 で、もっとやりたい、と思った。 疑似裁判員体験を私はもっとしたかったのである。 そこで、『有罪×無罪』と同時に発売された『THE 裁判員』をやってみることにした。 しかし、これはちょっとがっかりしたな。 このがっかりした、という意味についてちょっと書きたい。 決して面白くない、というわけではないのである。 このゲーム、タイトルが『THE 裁判員』なのに、中身が全然裁判員じゃないんだよね。 裁判員制度をゲームのモチーフとして考えるとき、狭義の意味では罪を犯したかどうか、どの程度の罪なのか、を判定すること自体を負荷として捉えるはずである。 ところがこのゲームでは主人公はすでに結論を知っており、正しい結論へと他の裁判官や裁判員を説得することがゲームになってしまっている。 議論して結論を導き出すんじゃなくて他の人を説得するの。 この点がまずおかしいわな。 裁判員制度である必要すらない。 例えば、本番になると緊張して気絶してしまう裁判官・弁護士・検事を設定すれば、裁判員制度じゃなくても話として成り立ってしまうだろう。(この辺は物語の設定を知らないとわからないだろうけど) 更にいうと、このゲーム、最初から徹底してレアケースばかり取り上げている。 普通のケースを全く説明せずにいきなりレアケースを出してどうするんだ、と思うのだが。 そんなレアケースばっかり出してきても、裁判員制度の理解は深まらないだろ。 『有罪×無罪』の第一話を見習えよ。 同発だから、見習いようがないだろうけど。 しかも、選ばれる裁判員がみんな変な奴ばっかりだったり、選ばれるべきでない奴が出てきたり、序盤特に酷い。 ホントに酷いんだ。 さすがに人間、こんな奴ばっかりじゃないだろ。 ふざけているとしか思えないな。 ガッカリした。 『有罪×無罪』をやると、裁判員になってもイイかな、と思うけど、『THE 裁判員』をやると裁判員になりたくなくなる。 なんちゅう酷いゲームだ・・・、と思ったが、イヤ待てよ、と思い直した。 近頃はシリアスゲームなんていうジャンルを特に持ち上げるゲーム研究者もいるようだけど、別にゲームが裁判員制度をレクチャーする必要はないからな。 『有罪×無罪』と同じ尺度で見ること自体が間違っているというべきかもしれない。 そう思えば、このゲームはそんなに悪くなかった。 成仏できなかった天国者と死に神のヤマヤマ4号が繰り広げる法廷コメディだと思えば、そんな腹も立たない。 クリアしたときは、結構満足感あったな。 ハーフプライスの作品にしては良くできていたというべきかもしれない。 |