天穂のサクナヒメ、PS4版

インディーズっぽくない 2020_12_04



最初に触ったときは、それほど大したことなさそう、という印象だった、『天穂のサクナヒメ』は。
少なくともアクションは在り来たりな感じがしたし、米作りも噂に聞いていたほど凝ってるわけじゃなさそうに思えて。
体の調子が悪かったこともあってなかなか進まなかったんだが、進めていくとこれは意外とよく出来てる。
たった二人で5年かけて創ったインディーズ作品だという触れ込みとは裏腹に、凄く丁寧なつくりでボリュームもたっぷり。
エンディングかと思ったら、まだ全然でやんの。
このままだと終わるのがいつになるか分からないから、今のうちに少し書いておこう。

このゲームはとにかく丁寧。
少しずつプレイヤーを成長させていくし、少しずつプレイヤーに出来ることを増やしていく。
成長要素は米だけではなくて、装備や技にもあるんで、常に何かしら成長を感じながらプレイできるんだよね。
最悪アクションが苦手でも米作りを先行させていけば、パラメーターの上昇によって戦闘がかなり楽になるあたりもよく出来てるんだ。
たぶん米の品質は必ず少しずつ上がるように設計されてるんじゃないかな。
とにかくプレイを続けることが気持ちよかった。

イベントもマメに発生するように創られている。
主人公と一緒に暮らす人間達にはそれぞれ役割があるのだが、システムの要素を開放することとキャラのイベントを絡めて、少しずつプレイヤーに理解させていくんだな。
システムとキャラの理解を同時に少しずつ進めていく感じ。
少なくとも中盤辺りまではちょうどイイ頻度でイベントが発生していくんだよ。
どんどんキャラクターを好きになっていくし、どんどんゲームに対する理解も進んでいく自分を感じながらプレイできた。

こんなゲームがたった二人で創れるなんて信じられない。
たまたまこのゲームを創った二人が天才なのか、インディーズ全体のレベルが上がってきているのか。
マーベラス側がどの程度手を入れたのか、私には分からないのだが。
一昔前ならスクウェアぐらいにしか出来ない丁寧さだよ、これは。

見た目だって、そんなに悪くないよ。
少なくとも日本一ソフトウェアなんかよりはずっと上。
下手だと米の成長待ちで時間が掛かるせいもあるんだろうけど、いわゆるフルプライスでもおかしくないボリューム。
一方で、予想していたほど尖ってはいない。
良い意味でインディーズっぽくない、という感想が一番相応しい気がしている。


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