ウイニングイレブン プレーメーカー 2008

直感的ではない 2008_03_03

 

もうずいぶんと長い間、シミュレーションを除いてサッカーゲームをやってこなかった。
「フォーメーションサッカー」系をやり込んできた私にとっては、「ウイニングイレブン」系が主流となった現在のサッカーゲームについていけなかったのである。
もっとも、ゲームについていけないだけでなく、現実のサッカーにあまり興味がなかったせいでもあるのだが。
知っているサッカー選手の大半がすでに引退してしまった。

そんな私が『ウイニングイレブン プレーメーカー 2008』を買ったのは、正直に言えばプレイしたかったからではなく、どんなゲームに仕上がっているのか興味があったからである。
フィールドをポインティングして操作するというのは極めて斬新で、ゲーム界においてエポックメイキングな作品になるかもしれないと思った。
Wiiによって直感的なサッカーゲームが生まれるかもしれないのである。
これを体験しておかない手はない。

しかし、私の予想は間違っていた。
これを体験しておかない手はない、というのは間違っていなかったが、直感的なサッカーゲームが生まれるかもしれない、という部分が間違っていたのである。
このゲームは全く直感的ではなかった。

直感的である、ということが具体的にどんなことなのか、私はDSをプレイしていく中で知った。
我々がやっているテレビゲームは置き換えで成立している。
ゲームの中で行っていることを入力装置、つまりコントローラーでの操作に置き換えるのだ。
その置き換えの同一性が高い、別の言い方をすれば置き換えの距離が近い場合、これは直感的だと言えるのである。

『ウイニングイレブン プレーメーカー 2008』について具体的に考えてみると、ボールを出したい場所を指してBボタンを押す、というのは置き換えの距離が近いわけでも何でもない。
シュートだってそうだ。
リモコンを振る動きと蹴り足が同期していればまた話は別だが、このゲームではヌンチャクコントローラーを振ることが単にシュートのサインになっているだけである。
要するにこのゲームは、サッカーゲームの新たな操作体系、それも絶対座標を指し示す入力装置としては比較的優れているWiiリモコンの特性を生かした新たな操作体系を創っただけなのだ。
それも酷く複雑な。
最初のチュートリアルで習うことだけなら確かに単純なのだが、ちょっと何かやろうと思うと、途端にもてあましてしまう。
パッケージに同梱されている早見表を見れば、その複雑さは一目瞭然である。
見ただけでゲンナリする。

私はこれを直感的だと言ったら嘘だと思うな。
「ウイニングイレブン」をいままで全くやってこなかっただけに逆これは自信がある。
私が直感的でないと感じているのは、従来操作と変わったからではないのだ。
従来操作自体をほとんど知らないんだから。

ただし、直感的じゃないからといって、それは直ちに面白くないことを示しているわけではない。
置き換えの距離の遠いことが確実に示すのは、ゲームに対する接近可能性が小さいことと、置き換え元が本来持っている喜びの分け前にあずかりにくいことだけである。


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