誰も殺さないこと

誰も殺さないこと '99_06_10

 

FF8をプレイする前から、私はある1つの予測を持っていた。
それは、おそらく誰も死なないであろう、という予測だ。
概ね合っていた様に思う。(もちろんメインな登場人物に限るけれど)

前作FF7では、まま人が死んだ。
極めつけにヒロインまでが中盤で命を落とす。
確かにプレイ的に気持ちが盛り上がった。
なんちゅうつまんないゲームだ、と思いながらプレイしているときに訪れる、ヒロインの突然の死は私を激しくゲームへと引き込んだ。
それは認めなくてはならない。

しかし、エンディングを向かえたとき、プレイヤーは達成感に浸れただろうか?
私は浸れなかった。
納得行かない気持ちで一杯だったように記憶している。
世界中に何百万と存在するFF7のプレイヤーは、誰一人彼女を救うことは出来なかったのだ。
たとえ彼女の意志は生き続けたとしても、納得は出来ない。
私は、次の作品ではこういう展開にして欲しくないと思っていた。

FF8が盛り上がりに欠けるゲームだというのは確かだと思う。
私の周りのプレイヤー達の共通した感想だ。
だけれども、エンディングを向かえたときの、このさわやかな気持ちはなんなんだろう?
私は何度も何度も繰り返しエンディングを眺めた。

一度ならず敵に回ったキャラクターが屈託なく笑っている。
追憶に生きる人も、追憶の中でだけ生きている人も、そして今を生きている人達も、みんなが新しいこれからを求めている。
そして、皆に未来は約束されているのだ。

誰も死ななくて済むのなら、その方がいい。
話を面白くするために、敢えて殺すようなシナリオは読みたくない。
プレイを終えたとき、心が温かくなるゲームがいい。
そんな気がする。


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