CRAZY TAXI2_2

ゲームは限界効用逓減の法則に逆らう 2001_07_27

 

経済学の世界には、「限界効用逓減の法則」というものがあるそうだ。
「限界」という言葉は「微分の」とか「一単位あたりの」という意味を指し、「効用」というのは「満足度」のことを指すらしい。
つまり、同じものを手に入れたとき、1個目よりも2個目、2個目よりも3個目の方が満足度が小さい、という法則なのだ。
私はこの言葉を就職試験のための勉強中に覚えたのだが、この法則はスゴイぜ!と思った。
現実の社会は、本当にこの法則に従っていたのである。

例えば、この激暑い今日この頃、仕事帰りにビールでもひっかけていくとする。
その1杯目の旨いことったらないだろう。
飲み干して思わず「あぁぁ〜」とか言わずにはおれまい。
2杯目だって旨いことは旨いが、やはり1杯目にはかなわない。
ましてや、5杯目あたりになれば、もうなにビールなんだかわかりゃしないし、10杯目あたりにはビールを飲んでいることすら分からなくなっているだろう。
つまり、一杯あたりの満足度は飲むごとに少なくなっている。
まさに「限界効用逓減の法則」そのままなのだ。
およそ世間の事象はこれに従っているのである。

ところが!、私は見つけたのである、この法則に従わないものを。
それは、なにあろう我らがゲームである。

私はもう本当にやめたかった、『CRAZY TAXI2』を。
スコアを伸ばすことにさほどこだわりを感じてはいなかったので、この辺で止めて他のゲームがやりたかったのである。
しかし、止められない。
やればやるほどに面白くなってくるのである。
「限界効用逓減の法則」には全く当てはまらないのだ。

ゲームって初めから面白さのすべてが分かっているわけではない。
まずゲームを理解する過程がある。
理解した上で、じゃあ自分はどう取り組むの?という段階になって、初めて喜びを得るのだ。
そして、たとえそれが同じことの繰り返しであっても、その喜びは増加していくことがある。
『CRAZY TAXI』で言えば、「お客さんの前で驚かせずにピタッと止まる」という行為の繰り返しが、とても面白く感じられたりする。
だから、こうやっていつまでもプレイし続けているのである。

ゲームはいわゆる嗜好品の仲間にはいるのかもしれない。
だが「限界効用逓減の法則」には当てはまらない。
なぜならば、私たちは与えられるだけではないのだ。
自らプレイする。
自ら喜びを引き出していく。
そして、だからゲームは素晴らしいのである。
逓減なんかしてたまるか。
へへんっだ。



<でも・・・>
一本道のアドベンチャーなんかは当てはまるかも。


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