キングダムハーツ ファイナルミックス_2

答えはなし 2003_05_21

 

『キングダムハーツ ファイナルミックス』の中で私は挑戦を受けた。
いや、「受けた」と思ったのである。
それは「おまえ達には何もわかりはしない。なぜならば、おまえ達は何も知らないからだ。」を覆すというクリエイターからの挑戦。

しかし、それは私の思い違いだったようで、このゲームの中に答えは明示されていなかった。
どうもそれっぽい雰囲気を出そうとして入れてみただけに過ぎなかったようだ。
敢えて汲み取るなら、「知り過ぎているが故に負の要素を大きく捉えすぎてしまう」ということを言っているのかも知れないが、ちょっと同意しかねる。
私に言わせれば、正も負もキッチリ見積もればいいじゃん、という話である。
もちろん、そういうことは言ってならないのがゲームの世界でのお約束なので、私も文句を言うつもりはない。
むしろ良かったんじゃないの、と思っている。
気持ちの良い作品に出会えて感謝しているぐらいである。

思わせぶりなセリフ、という意味では、このゲームの中にもう一つ凄いのがあった。
それは電源を入れて1〜2分ほかっておくと始まるデモムービーの中の一連のセリフ。
はじめはその存在に気づかなかった。
そのセリフは書かない事にするけど(つまりプレイしないとわからないということ)、それを読んで私はもの凄く感動してしまい、涙がダーッと出た。
あまりに感動したので、毎回スタートする前にデモを見てからプレイしていたぐらいである。
誰のセリフなのかが明示されていなくて、未だにすっきりしないのだが。
成長した主人公の言葉なのか、キングミッキーの言葉なのか、それとも何か別の作品に使われた有名なセリフなのか?

とはいえ、私が平素考えていることと、その内容が一致しているかというと、そうではない。
むしろ反対である。
私の考えに沿うと、そのセリフはこう書かれるべきであった。


「目の前にいる自分へ

 すべての悲しみは決して消えることがないし、
 決して人の心と心が混じりあうこともない。
 どうあがいてもそれが変わることはないと知りながらも尚、
 私は進もうと思っています。

 旅立ちは旅立とうと思わなければ絶対に始まらない。
 気が付いてみたら旅立っていた、などということはあり得ない。

 この同じ空の下で私達は生きている。
 しかし、この空は私達一人一人の世界の共有部分に過ぎない。
 私達は何者にも侵されることのない一人に一つの世界を生きている。
 私はそう信じています。」


書いてみると、まさに正反対。
でも、これじゃあ、人を感動させることは出来ないからね。
やっぱりあれで良かったんだろうな、という気がしている。

いや、よかったんだろうな、というよりは、大変素晴らしかったと告白しておくべきかもしれない。



<追加>

『キングダムハーツ ファイナルミックス』についてもう2,3本書きたいところなのだが、時間がないので追加で。

このゲーム、要するに「どうあてはめるの?」という作品なんだと思う、ディズニーのキャラクターを。
通常の作品でいうところの「ステージ」やFFライクなシステムにディズニーの作品やキャラを当てはめていく。
ゲームの構成自体はどうってことないんじゃないの?と思った。

ただ、この当てはめが凄い。
うまいことハメていくなあ、と感心しながらプレイしてきた。
キャラの持ち味を殺すことなく、FFライクな世界と結合させていく手腕に驚かされた。
おまけに、当てはめにくいキャラはコレクション要素に使っていく。
捨てるところのない鯨のようにディズニーを使って見せたね。

このゲームをプレイしているうちに、ディズニーが凄く好きなったよ。
ドナルドのぬいぐるみでも見つけた日には買ってしまいそうな勢いである。

スクウェアって会社はやっぱり凄いね。
何が大事かということをよく分かっている。
このゲームで一番大切なことは、如何にディスニーのキャラを活かすかということだったに違いない。
変なこだわりを持たないところが、大手メーカーとして素晴らしい。

最近、どうも自分はスクウェアが大好きなようだ、ということに私は気付きはじめている。
いい加減私もスクウェアを許してやりたいと思っているのだが、如何せん意地を張ることにも意地があるので、なかなかそういうわけにもいかない。
大変弱ったことである。


<追加2>
書かないつもりだったけど、我慢できないので書いちゃう。

最後のセーブポイント以降の構成は凄いと思った。
尺を長くとる一方で、十分に難易度を下げておく。
達成感を稼いでるんだろう。

さらに最後の戦闘で当たり判定を工夫することによって、HIV(プレイヤー)・ドナルド・グーフィーが力を合わせてボスを倒したように見せているような気がした。
ラスボスの攻撃、あたり判定が体から遠いところにあるんで、近くに寄っての攻撃がフリーになるから。
ちょっと読み過ぎかな?
最後のタコ殴り、3人で力を合わせて倒した!って感じで、凄く嬉しかった。

狙ってあの構成にしたんだったら凄い。
創った人最高!



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