仕事柄今まで学会発表の練習に付き合わされることが多かった。 学生達のプレゼンを私はしょっちゅう聞かされていたのである。 私に全く興味がなくても、そこはそれ、聞かなければならないのが仕事の辛いところであった。 もうオサラバだけどね。 学生の指導教官は必ずといってイイほど、最初に研究の目的を書きなさい、と指導する。 たいていの学生は自分のやったことを順を追って説明したがるのだが、最初に目的が分からないと何をしゃべっているのか見当がつかないし、分野外の場合は興味も湧かない。 最終的にどうしたいのか、どうなりたいのか、という到達点を示すことが重要だと指導するのである。 ひょっとしたらゲームでも同じかもしれないな。 やっとこさ『テイルズ オブ ヴェスペリア』が終わった。 途中中断したせいもあって、えらい長い時間掛かってしまった。 いやあ、凄かった。 何が凄いって、ストーリーのどうでもよさが凄かったな。 「どうでもええ話やなあ」と何十回つぶやいたか分からないほどである。 感覚でいえば、今までゲームをやってきた中で、最も「どうでもいい話やなあ」と思った。 しかし、よく考えてみると、今までのRPGだってみんなどうでもいい話だといえば、どうでもいい話だったはずである。 タイムリーな問題意識を持ち込んでいる分、こっちの方がマシかもしれないぐらいだ。 なんでどうでも良く感じるのだろうか? それにはやはり理由があるはずである。 このゲーム、かなり後ろの方まで目的がない。 もちろん局面局面ではあるよ。 しかし、大目的が全く見えない。 主人公達が人生に迷っているという設定なので、行き当たりばったりで行動するのだ。 主人公が勝手にしゃべって物語が進んでいく、それも一本道のストーリーだから、プレイヤーが自分でやってる感がそもそも希薄だってのは理解できる。 それでも大目的があれば、プレイヤーの考える事と登場人物の考える事が結果として一致してしまうことはあり得るよな。 このゲームではそういうことが全く起きない。 完全なる他人事である。 大目的は途中で変わっても良いんだよ。 自分のやっていたことが全く逆でした、と途中で分かっても良いんだけど、一応やっぱり大目的は提示してもらったほうがありがたかったな。 いやあ、ホントにどうでもいい話だった。 こんなにどうでもいい話なのに、ちゃんと最後まで遊べるってのはたいしたもんだけど。 FF的なというか、ヒゲ的な心配りは良くできている。 お金かけて、人手かけて丁寧に作られた作品であることは間違いないようだ。 |