スタートして、いきなりムービーで神宮寺が喋りはじめる。 これがまたイメージと全然合ってない声で、私は激怒した。 創り手はプレイヤーの中に描かれたキャラクターのイメージを尊重すべきだ。 変な声は入れるべきじゃない。 スタートしてすぐに私は電源を切って、その日はプレイしなかった。 これはPSP用の『探偵神宮寺三郎 灰とダイヤモンド』の話である。 このゲームのスタートは私にとって最悪だったが、プレイし終えてみると、これはなかなかイイ作品だったな。 「遺産探し」から物語が始まって、殺人事件が起きないのも良かった。 このゲームにおいて解決しなければならないのは、すれ違った人々の思いである。 本当はこの辺について書きたいところだが、発売されてあまり時間が経っていないから、あんまり話の中身には触れない方がいいかもしれない。 話の中身以外にも、このゲームには少し工夫がある。 必要のない選択肢が出なくなった。 いままでは、「話す」を選んだ後「誰を」という選択肢が出てきたのだが、状況からして当たり前であれば出てこなくなった。 これは「見る」でも同じ事で、見るものが一つしかなければ2回目の選択肢は出てこないのである。 初めはなんとなく違和感があったけど、やってるうちにこれは凄く良いな、と思うようになった。 余計な選択肢が無くなることで、俄然テンポアップする。 いままでは時間を稼ぐためもあって、わざと選択させていたのを、すっぱりそぎ落としてみせたのは英断だった。 しかもそれは同時に、心配りが細やかであるとも言えた。 なぜならば、選択肢が必要かどうか局面局面で創り手が考えている事になるからである。 その分ボリュームが落ちるからなのか、「考える」や「推理」でプレイヤーに解答を迫るシーンが多かったな。 プレイヤーにゲームを提供しようという意識が強かったと言ってもイイ。 「推理」を間違えたらゲームオーバーなんだけど、その代わりフローチャートを遡れるようにすることで負荷を軽減する措置も入っている。 これはなかなか良くできていたな。 相変わらずヤクザ頼みの展開になったり、株式会社の所有する不動産を経営者の勝手な思いで利益の出ない使い方をしたり、納得できないところはいっぱいある。 冒頭に書いたように、ムービーは激しく気に入らない。 あれは本当に止めて欲しいな。 しかし、旧態依然とした「神宮寺」にしては良くやった方ではないか。 日本一ソフトウェアの取り組みに比べると決して進んでいるとは言えないけど。 近頃やった「神宮寺」の中では一番面白かったような気がする。 |