ファントムブレイブ

日本一 2004_07_28

 

とても気になっていたメーカーさんがあった。
その名も「日本一ソフトウェア」。
なんて控えめな名前なんだろう!
このゲーム大国日本で一番なら、世界で一番でもイイだろうに。
私が『ファントムブレイブ』をプレイし始めたのは、「日本一」というメーカーさんの名前に惹かれたからだった。
ところが驚いたことに、「日本一」を標榜するのは伊達じゃなかったのである。

一般に欧米ではRPGはゲームマニアがやるもので、普通のゲーマーはやらないそうである。(あくまで伝聞)
私が思うに、システムや概念のルールを頭に入れなきゃならないようなゲームはメンドくさいんじゃないかな。

じゃあ、日本人は複雑なルールを頭に入れるのが好きかというと、実はそうではないだろう。
たぶんRPGの方が楽だから、あるいは単位時間あたりの喜び量を保証しやすいから日本人にマッチしているのだと私は考える。
にもかかわらず、RPGのゲームシステムが複雑になるのは、プレイヤーのやってる感を引き出す必要があるからじゃないか。
例えば、『ファントムブレイブ』は、「やりたい放題シミュレーションRPG」と銘打っているそうだが、やりたい放題といっても何もかも出来る訳じゃなく、やれることが多いだけである。
「やれることが多い」は即ち「複雑なルールが採用されている」ということに他ならない。

では、複雑なルールを頭に入れたくないプレイヤーにゲームを提供するにはどうすればいいのかというと、要素を加算的にする、という手法が用いられることが多い。
いろいろなシステムは用意しておくけど、使わなくてもゲームは進められるよ、という風にゲームを創る。
例えば、『ファントムブレイブ』だったら、アイテムの合成は使わなくてもとりあえず進められる。

ところが、使わなくてもクリアできるシステムであれば、多くのプレイヤーは使わない。
そこで必要になるのが壁。
プレイヤーを壁にぶつけることで、プレイヤーにゲームシステムを理解させるのだ。
システムが複雑な場合は要素ごとに分解して壁にぶつける。
例えば、『ファントムブレイブ』でキャラをたくさん持っていた方が有利だということをプレイヤーに身をもって知らしめるためには、攻撃力は弱いが体力は多い敵をぶつけてやればいい。(『ファントムブレイブ』では霊魂を物質に憑依させて実体化することによって戦わせるわけだが、実体化できる時間には限りがあるので、強いキャラがいても持ち駒が少ないと時間切れになる)

壁を作らないと、FFシリーズみたいになるんだろうな。
システムは用意しておくけど、そこを楽しんで貰えなくてもプレイヤーを満足させなければならないから、ゲームが豪華になる。
こうなっちゃうと、「世界一」を目指すことにはなっても、「日本一」っていう感じではない。

そこへいくと『ファントムブレイブ』は早い段階で壁を作る意図を明確に感じたな。
壁を乗り越えるたびにゲームへの理解度が高まっていって、凄く充実感があった。
ラスボスを倒すために合成アイテム稼ぎを13戦もやったけど、全く苦にならなかったもの。
楽しかった−。
終わっちゃって、どうしよう?という感じである。

こういうゲーム造りって、日本流だと思う。
こころ急かされる日本で発達した「ジャパニーズRPG」ですよ。
日本一の看板に偽りはなかった。
まさに日本一を目指すゲームだな、これは。
その心意気やよし。

『ファントムブレイブ』には意識して安く創るように頑張ってるところが見て取れるけど、こういう志の高いメーカーさんが潤うようにしてあげたいものだ。
まあ、この手のメーカーさんは必ずボリュームゾーンでゲームを創ってくるから、私は売り上げに貢献してあげられないわけだが。



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