ソリティ馬

必要だったことを後から足りない分だけ 2013_10_13

 

『The Wonderful 101』をプレイするのがイヤでイヤでしょうがなくて、何か他のゲームと並列してやらなきゃ我慢できない気分だった。
テレビ画面を切り替えるのは面倒だから携帯機で、と思ったのだが、ホントに何にもないんだよね、3DSにもPSVにも。
弱ったなーと思ってるときに、eshopで見つけたのが『ソリティ馬』だった。
まさか500円のゲームがこんなに面白いとは。
惰性でやってた基本無料ゲーム群を全部一気に卒業できた。
まあ、内容についてはまた別の機会に書くとして、プレイヤーをゲームに導入する方法が素晴らしかった。
このやり方は他のゲームにも応用できるんじゃないか。

『ソリティ馬』は名前から推測できるように、ソリティアと競走馬育成シミュレーションをくっつけたようなゲームである。
ソリティアはともかく、競馬や育成部分にはそれなりに説明が必要なはず。
ところが、このゲームはほとんど説明しないままにスタートする。
とりあえずやってみろ、というわけだ。
でプレイしていると、何かをした拍子に馬男みたいなのが現れて説明してくれる、ゲームを中断して。
する前に現れるんじゃなくて、した後に出てくるところがミソだった。
自分でその状態をつくっているわけだから、プレイヤーに前提を説明する必要はなく、それが何を意味するのか、を教えるのだ。
こうすることによって、説明が二度手間にならず、導入をコンパクトに出来る。
当然要点が飲み込みやすい。
おまけに言われるままにプレイしているのと違って、自発的にプレイしている感覚も得られる。
これはよく出来てたな。

このやり方は、「必要なことを必要なときに必要なだけ」よりずっと進んでる。
今までは結局のところ、細かく分割しているだけで一から十まで全部説明していた、プレイヤーが既に分かっていることまで。
プレイヤーがどういう状態なのかってことを厳密に想定して、足り事だけを端的に伝えていく方が断然先進的でしょ。
このスタイルがスタンダードになっていくんじゃないかっていう予感はあったよ。
当然、こっちの方が難しいだろうけどね、創り手としては。

更に興味深いのは、競馬に負けると、今のプレイの何が悪かったのか、何も悪くなかったけど負けたのか、を教えてくれることである。
結果からゲームへの理解を深めさせていく手法。
こういうのが必要になってくるんじゃないかな、これからは。
スコアやメダルだけではプレイヤーの心は沸き立たない。
かといって、おそらく、お手本プレイを全編観させるような手法でもダメなんじゃないかと私は思うんだ。
だって、観てるだけの時間って楽しくも何ともないでしょ。
端的にどうしたらいいのかってことを示してやった方がいいのかな、これからは。
これもプレイを分析しなければならないから難しいとは思うけど。

たった500円のゲームだけど、『ソリティ馬』は示唆に満ちたゲームだった。
余計な物をそぎ落としているからこそ、より際だったのかもしれないな。


戻る