雨格子の館

続けて欲しいチャレンジ 2007_04_09

 

主人公が最善を尽くさないのが私は我慢ならない。
しかし、大抵のアドベンチャーゲームではストーリーを面白くするために、登場人物はわざと間違った判断をしたり、気づくべきことに気づかなかったりする。
そんなとき、私はいつも「コノヤロウ!!」と激怒しながらプレイしているのである。
今回プレイした『雨格子の館』のオープニングで主人公が山奥の洋館にたまたま辿り着く件を読んだときにも、やはり激怒した。
本気で腹が立ったな。
しかし、納得がいかないのは最初だけで、事件が始まってからは最善を尽くすも尽くさないも自分次第だった。
このゲームはなんと、次の殺人事件を止めたり、次の事件が起こる前に犯人を突き止めることが出来るのである。

例によって面倒なので、『雨格子の館』の説明はしたくない。
ただある程度は説明しないと書きようがないので、少しだけ書くことにする。

このゲームでは、架空のミステリー作家の作品の内容や登場人物に対して、いわゆる「見立て殺人」という奴が起きる。
主人公が何もしないと、どんどん人が死んでいく。
普通のゲームだと止められないんだけど、このゲームは連続殺人を止めることが出来るのある。

見立て殺人の予告アイテムから、見立てている作品と人物を割り出し、見立て殺人に使う道具を割り出す。
そして、それを隠しておくことで、殺人を防ぐことが出来るのだ。
自分で次の事件を止められるって、プレイヤーが一番やりたかったことじゃないか!
これは素晴らしいよ。

しかも、殺人を事件を止めるだけじゃなくて、アリバイを崩して事件が起こる前に犯人を突き止めることも出来るのだ。
会話したり、あるいは物を調べることにによってキーワードを引き出して、引き出したキーワードを使ってさらに情報を引き出していく。
ちゃんと話を聞いていれば、初回の事件だけで犯人がわかるというすごい仕様である。
実際調査初日に犯人を指摘することも可能だ。

プレイヤーの行動によって、展開が変わっていくので、フラグ管理がすごく大変だったろうと想像する。
シナリオライターの人もよく書いたね。
矛盾がないようにチェックするのも大変だったろう。
これはなかなかアグレッシブな試みですよ。
10回ぐらいはやらないとベストエンドに到達しないように創ってあるところから考えると、システムは煮詰まっていないように感じたけど、そこを責めるべきじゃないな。
これは賞賛したい。
こんなゲームを待っていたんだよ。
プレイヤーが自分で最善を尽くすことが出来るって素晴らしいじゃないか。
(このゲームの場合、何が最善なのかは何回もやらないとわからないけどね)

エンディングの最後の最後を見て、なぜワトソン役をああいう描き方にしたのかが判ったような気がした。
シリーズ物にするつもりだったんじゃないか。
これは楽しみだな。
システムを改良してもらえたら、これは面白いよ。
もっとも、この『雨格子の館』はあまり売れなかったそうなので、次回作があるかどうかは怪しいところなのだが・・・。
是非このチャレンジは続けてほしいものである。


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