ゼルダの伝説〜ムジュラの仮面〜

例えばそれはこんな苦しみ 2000_07_19

 

『ゼルダの伝説〜ムジュラの仮面〜』。
まだ3つ目のダンジョンをクリアしたばかりのところだ。
2つ目のダンジョンをクリアしてから、もう一ヶ月ぐらいたっているのではないか。

このゲームは本当に苦しい。
例えばこんな苦しみってあるだろうか?

ゲームしよっかなあ、と思うとつい勉強してしまう。
電源を入れて素晴らしい3Dスティックを握ったとたんに、思わず教科書を開いてしまう。
ダンジョンに入っていきなり詰まり、24時間分(ゲーム中で)費やしてようやく解いたと思うと、法令集が読みたくなってしまう。(どうせ72時間中に間に合わないから)
「あれ、それ逆じゃないの?
 勉強しようと思うとゲームしたくなるんじゃないの?」
そう思った方は幸せである。
しかし、それは本当のことだったのだ。

今までゲームのために身を崩してきた。
学力も地位も名誉も捨ててきた。
そんな私が思わず勉強してしまう。(実は資格を取ろうと思っているのだが)
それくらいこのゲームは苦しいのだ。
72時間分まるまる使っても、せいぜいプレイタイムは1〜2時間なのに・・。(ポーズしてる時間による)
私はこの苦しさがいったい何なのか?ということを考えていた。

実は既に答えは書かれている。
「どうせ間に合わないから」。
つまり「今やっているプレイが、どうせ無駄になってしまうから」ということである。

一つのダンジョンを理解するには、どう考えても一回のプレイでは時間が足りない。
3つ目のダンジョンをクリアするのに、私は5回のチャレンジを要した。
辛かったのは、2・3回目だ。
試し試しやっているうちに時間が過ぎてしまう。
ある程度まで来ると、「ああ、もうダメだ」と諦めことになる。
そして次にプレイするとき、「また次も無駄に終わるのかな・・」という不安に駆られるのである。
だから、電源が入れられない。
全てのお誘いを断り、ゲームをするために我が家に帰ってきているのに、その時間が無駄になるのが怖いのだ。

このゲームは新しい時間の使い方を提案して見せた。
あちこちにちりばめられた仕掛けの数々は私をうならせ続ける。
だが、その時間というものの性質故の苦しさが生まれてくることを考えていただろうか?制作者の皆さんは。
私はもう少し気配りがあっても良かったと思うのだ。

例えば、アイテムだけを存続させるのではなく、プレイヤーに無駄な努力をさせないようにコンパスや地図を取ったらその場所をマップ上から消す。
あるいは中ボスは一回倒したら出てこない、とか。
もう少し前回のトライが反映されたプレイになったら、どんなにか意欲も沸くだろうに、と思うのだ。

しかしながら、その反面、私はこんなゲームが一つぐらいあっても良いかな、とも思っている。
この苦しさを抜けた時、きっと私の前には素晴らしい世界が広がっているだろう。
それを味わうために、なんとしてでもクリアしてみせる。
ただし、こんなゲームは『ゼルダ』だけにしてよね、というのが本音でもあるだが。


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