ゲームについて何か書こうすると軸が必要になる。 少なくとも私はいつも軸を考えている。 軸を立てると面白いことに、客観的な評価を離れてゲームを書くことが出来るのだ。 とても都合がいいのである。 ところが、いま何を軸に書いて良いのかわからないゲームにぶつかっている。 そのゲームの名は『MOTHER2』。 私は今頃になってGBA用『MOTHER1+2』の『2』の方をやっていた。 なんで今頃になってやっていたのかというと、それは私が糸井氏のことが大嫌いだから・・・ではなく、糸井氏をありがたがる人が大嫌いで、彼らの主張が正しいのかどうかいずれ確かめなくちゃなと思っていたからである。 これは余計な話だが、ゲーマーという輩の多くはよほど自分に自信がないのか、著名人がゲームに理解を示すと必要以上に喜ぶところがあって、極めて美しくないと私は感じていた。 ゲームが素晴らしいなんてのは当たり前の話で、世の中がゲームに偏見を持っているうちにゆったもん勝ちなのである。 ゲームは素晴らしい!と。 だから今のうちに、声を大にして叫んでおくといい。 それはともかく、『MOTHER1+2』の発売は良い機会だったのである。 私は『2』だけをやってみることにした。 さすがに『1』は古すぎて耐えられないだろうな、思ったからだ。 感想としては、ただただ面白かったとしか言いようがない。 10年前のゲームなのでそれなりの覚悟で臨んだが、驚くほど今風のゲームだった。 イベントを常に「街」に限定しているおかげで謎は大体自分で解けるし、困ったらヒント屋に行けばいいのだ。 極めてスムーズな進行に10年前のゲームだということを忘れるほどであった。 そこへ持ってきて、イベントなりテキストなりが粋だったな。 とても自分にフィットしたセンスだった。 ただ軸が決められない。 このゲームの何について書くのか。 はじめは「スタンドバイミー」的なゲームなのかな?と思ったのだが、どうも後半になると違うような気がした。 「剣と魔法の世界へのアンチテーゼ」なのかなと思えるフシもあるんだけど、ちょっと大げさかなという気もする。 最後の方だけ見ると、これもある種のアンチテーゼなんだけど、「人間の内側への傾倒」とかを軸に考えた方が良いのかなとも思った。 どれを軸にしてもいいんだけど、どれも自分の中でスッキリと収束してこないのである。 コラージュっぽいのかもしれない。 おそらく『1』をプレイすれば、もうちょっと見えてくるんだろうな。 『2』になると、当初の構想にプラスアルファが加わってくるから、いろんなモノがくっついてるだろうし。 今のままででは『MOTHER』というタイトルの由来もわからない。 しかし・・・15年前だもんな、『1』は。 そんなゲーム、今の自分に出来るんだろうか? やらなきゃいけないような気はしているんだが・・・。 |