モンスターバッグ

違う文脈で捉える 2015_04_30

 

Wii/DS世代においては、だいたい何でも「直感的」というキーワードを使えばゲームを説明することが出来た。
ルールが簡単であることをもって「直感的」だと勘違いしているものは多かったが。
もちろん、今でもWii/DS世代とおんなじ様なゲームはある。
しかし、だいぶ時代が変わっちゃったので、違う文脈でゲームを捉える必要もありそうだ。

ところで、PS+の15日間無料体験コードがやけにいっぱい手に入るんだ。
あれ、コードが違えば何回でも登録できるらしくて、ずっと無料体験し放題。
入力する度に自動更新になるから、その都度、無効にする必要はあるけど。
そんなわけでプレイしていたのが、フリープレイになってた『モンスターバッグ』。
ジャンルとしてはアドベンチャーゲームに近いのかな。
カバン風のモンスターが仲良しの少女を助けるために横方向へ進んでいくゲームである。

特徴としては、文字をほとんど使わないことが挙げられる。
登場人物は吹き出しに絵を表示して意思表示する。
アイテムをタッチして謎解きをするあたり、ちょっと見た目にはWii/DS世代のゲームっぽい感じだ。
女の子を助けるためには他の人がどうなっても構わない世界観になっていて、極めてシュール。
出来ることが少ない割に、起こることが突拍子もなくて、こっちのイマジネーションを飛び越えていくことが多かった。
正直、面白いといっていいのか、私はよく分からなかった。
しかし、エンディングを見終えてしばらくしてから、急に腑に落ちた。
ああそういうことか、と。
途中だけれども、これからこのゲームをプレイするつもりのある方は、ここからは読まないでください。

何かしらの理由で親がいない子供にとっての現実は、ああいう風に見えているのかもしれないな。
怖いじゃん。
心細いじゃん。
なにか頼りになるものが欲しいよね。
万難を排してでも自分のことを助けてくれる存在が。
きっと、タオルケットでも人形でも良かったんだ。
おそらく形状や機能性からカバンが選ばれただけなんじゃないかな。
なかなか面白い着眼なのかもしれない。
これは是非やっみてほしいゲームだな。

しかし、そう思うと少し問題はある。
このゲームは意外と難しい。
特に最後の方。
その難しさは謎解きにあるのではなく、敵の監視をすり抜ける部分にある。
目の動きがランダムになっていて、どうやっても間に合わない?こともあった。
これは「直感的」を売りにするゲームとは違う。
「直感的」を売りにするゲームは普通、クリアできるように作られる。
というのは、クリアできなかったら、直感的で良かったねって話にならないから。
であるならば、今までとは違う文脈で捉える必要がある。

おそらくこのゲームはボーダーレスを狙ってるんじゃないか。
アンドベンチャーゲームなんて、今どき高いお金出しては買ってもらえないから、ワールドワイドで売らないとペイできないだろっていう。
でも、ローカライズする費用は出せないから、最初からローカライズの必要がないように創っておく。
PSの場合は、最悪フリープレイにすれば世界的にダウンロードが期待できるし。
どれぐらいの収入になるのかは知らないが。

こういう生き残り方はあり得るな、アドベンチャーゲームにとって。
「直感的」が売りになる層は、アドベンチャーゲームにお金なんか払ってくれないだろうから、この選択は間違ってないはず。
世界に散らばる少数のマニアに向けて創る、という。
日本人向けのアドベンチャーゲームが発売されるに越したことはないんだが。


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