奈落の城_2

見積違い 2008_05_21

 

『奈落の城』を終えてみて思ったのは、どうも作った方々は見積を間違えたらしい、ということである。
有り体に言って、このゲームをクリアするのは凄く大変だった。
最後の方は攻略wikiをみても心が折れそうだったのである。
創り手がまるでデタラメに作っているわけではない事は理解できたので、見積が間違っているとしか言いようがない。

この『奈落の城』はいわゆる一本道のアドベンチャーゲームではない。
立てるフラグには順番やキャラにある程度の自由があり、プレイヤーは必要なアイテムなり選択肢なりを自分で期限までに見つけていく。
それなりにプレイヤーに大きな負荷をかけるゲームである。
プレイヤー側としてはそれは覚悟の上でやっているから、ある程度の負荷は許されるだろうと思う。

ただし、あんまり大きいとさすがに挫折するわな。
今どきみんな忙しいんだから。
その点は創り手も考えていて、一日ごとに立てなければならないフラグを限定して、立てられなかったら即ゲームオーバー、という構成になっている。
ゲームオーバーになる前に、なんのフラグが足りなかったのか、ヒントをつけて。
決して創り手は何も考えていないわけではない。
即ゲームオーバーというのはむしろユーザーフレンドリーな方針である。

ただ一つ考え忘れていると思われることは、プレイヤーは前からゲームを見ている、ということである。
プレイヤーは先に何があるのか、どのフラグを立てなければならないのか、をプレイを進める前に知ることは出来ない。
常に後から知るのである。
前からゲームを見るとき、プレイヤーは自分がやっていることが正しいことなのかどうか、いつも不安な気持ちになる。
自分のやっていることが成果につながらないかもしれない、と感じることが一番怖いんだな、これが。
この不安が非常に大きな負荷になることを、このゲームの創り手は見逃しているように思える。
プレイヤーにかかっている負荷をきちんと見積もれていれば、おそらく移動方法はもっと簡便にすべきだとか、3Dの通路を移動させるのはやめよう、とか自ずととるべき方法は出てくるはずだと思うな。

適正な負荷の見積を行ってもなお、ゲームシステムをいじれない、ということであれば又別の方法も考えるだろう。
もっと捜索範囲を狭めるとか、立てるフラグの数を明示するとか、プレイヤーの安心感を引き出す方法を考えるよ、創り手は。
私が思うに、全ては見積の間違いから来ている事だと思う。

まあ、見積を間違えさせたのは、前作のファンかもしれないけど。
きっと難しい方がやりがいがある、的なアンケートがいっぱい集まったんだろう。
私もやっぱり褒めざるを得なかったからな、前作は。
あれは褒めるより他に選択肢がないんだよ。
それを真に受けてしまうと、どんどんプレイヤーを振り落として進んでいく他ないわけである。

今作、話自体は結構好きだったのに、ちょっと残念だったな。


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