発売と同時にGAMEPASSに登場することで話題だった『The Medium』。 やってみたら、ひどいゲームだった。 いや、ひどいというのは全部がひどいわけではなく、ある一点においてひどかったのである。 よくよく考えれば、大した実績もない会社が作っているわけで、そんなに期待するのも酷だったのだろう。 やはりその一点については書いておきたい。 このゲームはジャンルで言えばホラーアドベンチャーゲーム。 しかし、やってみた印象としてはサスペンスに近いかな。 共産主義時代のポーランドにつくられた保養所みたいなところで起きた惨劇の顛末を、霊能力を使って探っていく。 その過程で、主人公は出自や霊能力の出所なんかを知るのである。 お話はなかなか面白かったと思うよ。 同じ場所の現実世界と精神世界を同時に描画して、一方の障害をもう一方の世界で取り除くなどの謎解きもまずまず面白かった。 やや簡単すぎるかもしれないが、解けないよりは解けた方がいい。 じゃあ問題はないかといったら、そんなことはない。 重大な問題があった。 それはキャラの挙動。 メチャメチャぎこちないの。 20年前のゲームみたい。 まーストレスが溜まるよ、これは。 相当技術力が低いんじゃないかな、この開発会社。 これを見たら、『The Last of Us Part2』のなめらかな動きが簡単なことではなかったのだと思い知らされる。 フィールドをただ歩くことがそんなに難しいことだとは思ってなかったよ。 このゲームで一番難しいのは怪物から逃げるシーンなんだけど、ここでキャラの挙動が効いてくる。 怪物に捕まったときに、方針が間違っていたのか、操作をミスったのか、判断が付かなくて、やり直すのがイヤになるのだ。 このゲーム、ほとんどロード待ちがないんだけど、ここだけ長く待たされるのがまたそれに拍車をかける。 なんというか、ゲームの本質じゃない部分で、少なくとも私が期待する本質じゃない部分でストレスが溜まるのである。 こういうゲームをやると、やっぱり技術力って大事だと思うね。 同時に二画面描写するのですごく重いんだけど、その重さに見合っているほどCGが綺麗だというわけでもなくて、やっぱり技術力が足りてない感じは全体に漂っている。 カプコンあたりに作らせたら、PS4ぐらいの性能でももっと快適なゲームに仕上げてくれそうな気がした。 一方で、マシンパワーを当てにすれば、この程度の技術しか持たない開発会社でも、これぐらいの作品を創り上げることが出来る、とも言えるだろう。 マシンパワーが高くなることで開発が楽になる、という表現もあながち間違いとは言い切れない。 優れた脚本家とCGデザイナーがいれば、優秀なプログラマーがいなくてもなんとかなる、という時代になっているのかもしれないな。 私は完璧に仕上げられたゲームで遊びたいんだけど。 |