日本のRPGは磨いてきた、ごまかしの技術を。 狭義の意味でのゲームを盛り込みすぎるとプレイヤーがシンドイから、なんかやってるような気にさせるテクニックを磨いてきたわけだ。 概ねヒゲが開発した手法をみんなで真似てブラッシュアップしてきた、といった感じで私は理解している。 さすがに、このごまかしのテクニックに関しては海外に負けてないだろう、と私は思っていたのだが、そうでもないことを知ってしまった。 『マスエフェクト2』はやってる気にさせる、というか、ディレクションの一部をプレイヤーに委任しているような印象を与える作品だった。 ゲーム自体はFFと対して変わらないと私は思った。 FFをスタートレック風味にして、戦闘をTPSにしたらこんな感じでしょ、って。 それほどの驚きはなかった。 スタンドアローンでやってる分には、ムービーとゲームを組み合わせようとした、いかにもハリウッド的な作品だ。 あんまり面白いと思わなかったのは、前作やってなくてバックグラウンドが分からないせいもあったとは思うが。 しかし、やっぱりプレイヤーに寄与分をしっかり与えているところには感心させられた。 一番驚いたのは、NPCとの会話が途切れなく進んでいくところだった。 会話が終わる前に次の選択肢が出てきて、まるで初めから決まっていたかのように会話が進んでいくんだよな。 シーンをプレイヤーが自分で演出しているような印象を受ける。 大したことじゃないんだけど、自分で物語を創ってる感がでてるよ。 おそらくプレイヤーにディレクション権をある程度与えよう、というコンセプトがあるんじゃないかな。 同じ映像体験重視でもPS3の「アンチャーテッド」なんかとはちょっと毛色が違う。 ゲーム進行においても、各ミッションは一本道っぽいけど、どれをやるかはプレイヤーが決めるんですよ。 映画でいえば、フィルムをつなぎ合わせる権利をプレイヤーに与えているようなもんなんじゃないか。 たぶんどれからやっても破綻しないように調整してるんでしょう。 プレイヤーの能力差が出ないところで、上手くプレイヤーの心を掴んでいるゲームだとは思ったな。 それだけお金かけてるということでもあるんだろうけど。 プレイヤーがどうやっても上手くつながるように創ってあるんだから、当然作業量は増えるでしょ。 今の日本ではこういう作りは無理だろうね。 もっとも、日本ではそもそもプレイヤーはあんまり自分の取り分を欲していないから、こういう作りじゃない方がいいのかもしれないが。 私の見たところ日本で売るんだったら、どういう風に進めても結果的に損をすることはありません、ということを前もってプレイヤーに伝える必要がありそうな気はする。 日本のプレイヤーは時間が無駄になるかもしれない、と思うだけで不安で不安で仕方ないからな。 |