シレンモンスターズ NETSAL

マーケティング 2004_06_08-09

 

良くできているのに売れないゲーム、というのは、割とよくある。
ゲームは買ってみないことには中身がわからないし、日本では発売前に話題になっていないと、発売後に話題になっても手遅れなケースが多いのだ。
中古市場がそれなりの影響力を持っているからかもしれない。
ただ、マーケティング的にどうなんだろう、と思う作品を今プレイしている。
『シレンモンスターズ NETSAL』がそれである。

「NETSAL(ネットサル)」というのは、インチキ必殺技付きのミニサッカーのようなもので、どちらかというと育成メインのゲームである。
GBAの小さい画面を考えたときに、普通のサッカーではなくて、ミニサッカーにしたところは正解だと思うし、シレンのキャラの特性をサッカーに織り込んだところなんかは上手いと思った。
それに、プレイすればするほどプレイヤーが少しずつ有利になるように構成してあって(助っ人が増えたり、スポンサーから練習設備を貰えたり)、バランス取りも絶妙だなと感じていた。
一生懸命になってやるゲームではないが、片手間にやるには最高のゲームだったな。
もう一ヶ月以上毎日1キャンプを続けている。

ところが、このゲーム、あんまり売れなかったそうである。
良くできたゲームが売れないというのは残念な話だな、いつも思うのだが。

ただまあ、売れなくても仕方ないかな、とも思うのである。
だって「シレンモンスターズ」だから。
GBAで遊ぶような低年齢層がシレンジャーだとは思えないでしょ。
「風来のシレン」そのものを知らないはずだ。
これがポケモンのキャラでも使ってたら、そりゃ、すごい人気だっただろうなと思うもの。

更に残念なことに、ある程度の販売数がでないと、このゲームは相乗効果が出ない。
お友達のチームと対戦させることでチームを強化しましょう、という狙いがあるのだが、お友達はこのゲームを持っていないのである。

具体的に計算してみよう。
推定販売数2万本として、その50%を小学生が買ったとしよう。
すると、1万人の小学生がこのゲームを持っていることになる。
しかし、小学生は全国におそらく800万人ぐらい(全くの想像)いるはずなのである。
すると、このゲームを所有しているのは僅か800人に1人、ぐらいの計算になる。
一小学校の一学年を150人と考えて、最低2人持っていないと、相乗効果は生まれないだろう。
そうすると、相乗効果が生まれるスレッショルド(境目)は75人に1人だから、約10倍は売れる必要があるということになる。
つまり、総売上が20万本ぐらいはないと相乗効果は生まれない、ということである。

インターネット上で検索してみる限り評判良いんだけどね、『シレンモンスターズ NETSAL』は。
おそらく、今からスレッショルドを超えることはないだろうな。
しかし、事前にたくさんCMを流したからといって20万本売れるとも思えないし。
考えれば考えるほど、「風来のシレン」を選択した時点で売れないことは決定していたようにも思えるだが、そういう答えに帰結するのもひどく可哀想な気がする。



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