今とても気になっていることがある。
「alternative」をカタカナでどう書くか?
私は「オルターナティブ」と書くが、世の中には意外なほど「オルタネイティブ」と書く人が多いんだそうである。
実際検索をかけてみると「オルターナティブ」と「オルタネイティブ」は、ほぼ互角のヒットを数える。
なんでこんな話を書いているのかというと、つい先日『マブラブ オルタネイティヴ』というエロゲーが発売予定だという話を聴いたからである。
どうやら『マブラヴ』という先日発売されたエロゲーの別シナリオ、あるいはパラレルワールド、というような意味合いのようだ。
私は『マブラヴ』がどんなゲームなのか知らないのだが・・・。
いかに私がエロゲーマーだといっても、さすがに全部が全部を知っているわけではないのだ。
ただ、『君が望む永遠』という非常に評価の高いエロゲーを開発した「アージュ」というメーカーが発売するということで、発売前から高い関心を持たれていたということだけは知っている。
その道の皆さんは略して『オルタネイティヴ』と書くわけだが、私はそれを見てマズイなあ、と思った。
「alternative」の「na」は「ネイ」とは読めないのだ。
「ter」のところにアクセントがくるから。
「na」を「ネイ」と読むと、必然的にアクセントが「ネイ」の方へ移っていることになる。
日本語流に発音を変えている単語はいっぱいあるけど、ちょっとこれは恥ずかしい感じ。
試験にもよく出るしね。
誰かが間違えてそれが広がったんだと思うのだが、どうして誰も指摘しなかったんだろうか?
不思議な話である。
きっと私のように「マズイ!」と思う方がイッパイいるんじゃないかと思ってエロゲー関係のHPを検索してみたのだが、どうもその手の話題が見あたらない。
我らがエロゲーマーの皆さんは平気なんだろうか?
ゲームのタイトル書く度に、「間違ってるのになあ・・・」と思わなきゃならない。
おまけに口に出して発音した暁には、
「いやいやいや、待て待て待て。
オレはちゃんと知ってるんだよ、「alternative」を「オルタネイティヴ」とは読めないこと。
だってそういうタイトルなんだもん!
しょうがないじゃん!」
って言い訳しなきゃならない。
面倒だよねえ。
だったら、タイトルの読み方変えれば良いんじゃないの?と私は思うのである。
そもそもタイトルには「ALTERNATIVE」と英字で書いてあるんだから、わざわざ「オルタネイティブ」と読むことはないよね。
「オルターナティヴ」でも「オールターナティヴ」でも「オルタナティヴ」でも、とにかく「ネイ」でなければイイから。
エロゲーマーのHPを調べてみたところ、2人だけ自主的に「オルタナティヴ」と表記している人がいた。
割合でいうと全体の10%に過ぎないのだが。
実をいうと、「読み方変えて頂戴」ってメーカーさんにメール送っちゃった。
だって気になって気になってしょうがないんだもん。
エロゲーマーのみんなは平気なのかなあ。
それもまた不思議な話だという気がしてならない。
<後日談 2003_04_16>
ゲームの話とは全く関係ないのだが、英語の日本語表記について考えていた。
日本語表記というからには、日本語でどう発音しているのか、という事だと考えて良いのかもしれない。
私はよく「モチベーション」という言葉を使うが、本当は「モウティベイション」とでも書いた方がより本当の発音に近いだろう。
じゃあ、なんで「モチベーション」と書くかというと、これは想像だけど、棒読みになっているからなんじゃないか。
つまりアクセントが消えている。
「コンビーニエンス」なんかも「コンビニエンス」と書くとアクセントが消えている事になる。
この原因をさらに想像するに、おそらく日本人は音を漢字に置き換えて考えているからなんじゃないか。
音に載っている情報量が少ないのである。
前後関係から当てはまる漢字を導き出して、そこから音に情報を付加していく。
ところが、非漢字圏の言語は音に情報を沢山載せなければならないので、アクセントが大事になる。
日本人はアクセントを大事にしないから棒読みになるし、それをそのまま表記してしまうのだ。
こう考えると結構しっくり来るよなあ、と思った。
アクセントが消えるように表記するのが日本流だとするならば、やっぱり「オルタネイティブ」はマズイ。
逆に「オルタナティブ」はOKだということになる。
何とかならんもんだろうか、あのタイトルの日本語表記は。
そのうち訂正されるんじゃないかと思って、しょっちゅうHPを覗いているのだが、未だに訂正された様子はない。
弱った話である。
<後日談2 2003_07_01>
どうやらエロゲーマーの皆さんは「ネイ」を回避する方法を見つけたようだ。
思い切って「オルタ」まで略しちゃう。
うまいこと逃げたな。
ちなみに「alter」には、ラテン語で「another」の意味があるようだ。
いっそのことタイトルも「オルタ」にしとけばイイんじゃないの、と思った。
<後日談3 2003_07_25>
アクセントが「ter」から「na」に移る、という考えが正しいかどうか考えていた。
「ネイ」と読んだとき、アクセントを「ter」に持ってくるのは無理だとしても、先頭に持っていくことは可能なんじゃないか。
一般的に「ate」を変化させて「ative」にするときは、「a」にアクセントが来ると思うのだが、例外はあるかも知れない。
言葉は必ずしも規則通りに出来てるわけじゃないから。
そもそも間違っているんだから、考えても仕方ないのだが・・・。
<後日談4 2003_07_30>
『マブラヴ』をプレイしていない人間が次回作のタイトルにケチを付けるなんざ下の下だよな、という気はしていたので、今更のように『マブラヴ』をプレイしてみた。
これは面白いね。
ちょっとビックリした。
エロゲーは2種類に分類される。
ゲームをさせることでキャラクターを立てて後ろに持ってくるエロを増幅してやろう、という立場をとるものと、ただひたすらエロを垂れ流すタイプのものである。
『マブラヴ』という作品は、前者に分類されるタイプの中ではトップクラスと言って良いんじゃないかと思った。
後者のタイプはゲームが面白くなくても怒ってはいけないというのがエロゲー界のお約束なのだが、前者の場合は批判されることもある。
『マブラヴ』は批判されることを恐れずに大きな負荷(時間的な)をかけることに挑んだ、野心的な作品だと言っていい。
テキストはひたすら会話だけが続くタイプで、情景の描写はほとんど無し。
文章の世界だったら最悪だけど、これはゲームだから大丈夫。
ゲームでは画像と音が使える。
描写は全部画像と効果音でやるのだ。
キャラクターを動かしたり、表情を変えたり、へたれ絵(落書きのような簡易絵)を入れたりして表現していく。
画像と効果音で表現できない部分は声優さんの力でねじ込んでもらうことになる。
総合力で勝負するタイプの作品なのだ。
作風は全く異なるが、何となくニトロプラスの虚淵玄の作品に近い気がしている。
ホントに野心的だなあ、と感心した。
声優さんの声を聞かないとニュアンスが解らないところがミソで、仕方なく聞いているとひどく時間がかかる代わりにキャラが立つ。
自分の中に凄まじい勢いでキャラが形成されていくのを感じながらプレイすることになった。
主人公以外の登場人物、私はみんな大好きだ。(主人公嫌い)
結局主人公を慕っている女の子たちから一人選ぶことになるんだけど、選ぶのイヤだなと思うところまではいった。
作品としてケチをつけるところはほとんど無いと私は思った。
敢えて問題を挙げるとすればストーリーの構成。
この作品はラブコメの前半と、『エヴァンゲリオン』もどきのパラレルワールドに飛ばされた後半に分けられる。
前半から後半へのリンクを考えると、これは全く意味がない。
ところが、後半から前半へのリンクを考えると、これは意味がある。
そうすると、この作品は地球外生物に人口の5分の4やられちゃったパラレルワールドの方が先に構想としてあって、後から前半を創ったんだな、という話になる。
一方、大半のプレイヤーが望んでいたのはラブコメの方のはずなので、ある意味騙していたことになっちゃう。
この辺がちょっとイヤらしい感じはするね。
エロゲーというものの役割を考えると、私は許してあげたいと思うけど。
そうそう、肝心の「alternative」なんだけど、何のことかやっとわかった。
物語の一番最後に「オルタネイティヴ計画」というのが出てくるのだ。
それがアメリカ主導の国連軍の秘密計画名だっていうんだから、困ったものである。
メチャメチャ大事なシーンなのに、思わず吹いちゃったよ。
「ヴ」のところだけ拘りがあるのが、またアンバランスに感じる。
私が子供の頃は「ヴ」は正式な日本語として認められていなかった。
その代わりカッコイイ響きがあったけど今もあるのかな。
私の名前が「HIB」ではなく「HIV」なのも、「V」がカッコ良かったからなのだが。
なんでもその昔「alternative rock」という言葉を「オルタネイティブ ロック」と読んで輸入してしまったことがあるんだそうで、その時代の人が敢えて「オルタネイティブ」と読んでいるのかもしれない。
せっかくイイ作品なんだから、つまらない間違いはパッチを当てて直しておけばいいのに、と私は思うのだが。
一応アンケートハガキで説得は試みたいと思っている。
きっとメールよりは開発者の心に響くだろう。
<後日談5 2003_08_03>
帰国子女のH君というのがいる。
彼は高校を卒業するまで7年間アメリカで暮らしていたそうだ。
どうもアメリカ暮らしが長かったせいか、日本語をしゃべっている途中に英単語を挟む癖が彼にはある。
それもジャパニーズイングリッシュではなく、正しい発音で話そうとする。
うっかりジャパニーズイングリッシュになってしまった時は、わざわざ発音し直すのだ。
私はそれを見て、こいつは違うな、と思った。
彼は私たちとは違う。
私たちは周りに日本人がいると、わざとジャパニーズイングリッシュを使ってしまうのだ。
外人さんと二人きりなら、一生懸命それらしい発音をしようとするが、周りに日本人がいると出来ない。
調子こいてると思われるのもイヤだし、一生懸命やってその程度かと思われるのもイヤ。
じゃあ、待てよ、と。
「そりゃあれだよ、alternativeなんだよ。」
としゃべる時、正しい発音を知っている人はなんと発音するか?
「オルターナティブ」と発音すると、アクセントは合っていることになるが、なんかイヤらしい感じがしないでもない。
「そりゃあれだよ、オルタナティブなんだよ」
と発音したくなるのが、私たち日本人なんじゃないか。
そう考えると、「オルタナティブ」が一番しっくり来る感じはする。
<後日談6 2004_03_04>
メーカーさんのHPが更新されているのに気がついた。
やっぱり「オルタネイティヴ」で押し切るらしい。
最近発売されてる「alternative」は大半が「オルタナティブ」と表記されてるから、敢えて挑むんだろうね。
わかっててやってる人は止められない。
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