私はきっといると思うのである。 アンチテーゼとしてのXBOXに期待をかける人が。 その行く道のなんと険しいことか。 5月22日になって、ようやくXBOXを買った。 値下げした当日に買うのは、いかにもカッコ悪いなと思ったのだが、ちょうど良い機会だったのである。 それまで「out of 眼中」だったXBOXを買う気になったのは、自分にご褒美を与えたかったからだ。 勉強するのがイヤでイヤで仕方なかったので、テストが終わったら何か自分にご褒美をあげよう、と思って勉強した。 ナイスタイミングで値下げがあったわけである。 とにかくXBOXというのは凄いマシンである。 重すぎ。 渋谷から自宅まで15分の間に指が腫れ上がった。(紙袋の手提げ部分が細かったので) 標準的な女性では、持ち帰ることすら不可能なのではないか。 しかし、XBOXというのは、ある意味においては完璧なマシンなのである。 全て標準装備。 ゲームマシンとして頂点に立つ資格は備えている。 ところが、『Dead or Alive 3』といくつかの体験版をプレイしてみてわかったことには、このマシンは大変なことになっていた。 絶対に日本では売れない。 ハードウェアの問題でもなく、難易度が高いからでもなく、ゲームが面白くないからでもない。 要するにゲームが日本向けに作られていないからだ。 日本は特殊な市場である。 何が特殊って、ゲームを自ら楽しもうという気がプレイヤー側にないのだ。 プレイヤーは楽しませてくれるのを期待してゲームを買う。 あくまで受動的である。 それは日本人が平素疲れ切っているからかもしれないし、日本人がゲーム以外の楽しみをたくさん知っているからもしれない。 だからチュートリアルが非常に重要になる。 どうやってプレイヤーをゲームに導入するか。 それも、例えばAボタンを押すとジャンプしますよ、みたいなチュートリアルではもうダメだ。 極端な話、このゲームの何が面白いのかを説明するところまでやらなければならない。 私が今プレイしている『サイヴァリア リビジョン』を例にして説明してみよう。 おそらく、これぐらいまでやらないと標準的なプレイヤーは導入できない。 「左上から弾幕が降りてきます。 弾は直線的に降りてきますから、機体の左側を掠る位置で止まってください。 掠ってる音がしますよね。 そこで画面左上を見てください。 レベルゲージがあります。 レベルゲージがいっぱいになると、レベルアップしますよ。 ほら、ピカって光ったでしょう? レベルアップすると無敵時間が発生するので、無敵時間中にもう一回別の弾幕に飛び込んでください。 ほら、またレベルアップしましたね! そうすると途切れなく無敵時間が発生るするんですよ。 凄いでしょ!」 ゲームの中でこんな説明はしてくれないし、実際にはこれを暗にやらなければならない。 プレイヤーにそれが説明だと気付かれないように。 たとえチュートリアルに成功したとしても、更に単位時間あたりの喜びを保証してやる、という新たな課題が待っているのだが。 もちろん、疑問はあるだろう。 そこまでしてゲームして貰わなければならないのか?と。 それでもやらねばならない。 ゲームの開発にはお金がかかるのだ。 だから素晴らしいゲームというのは、たくさん売れなければならないのである。 しかし、現在のXBOXの売れ行きを見る限り、今後日本向けにゲームが開発されることはほとんど無いだろう。 あくまでアメリカ向けをローカルカスタマイズするだけになるはず。 現状では悲観的な見解しか取れない。 セガなき今、旧セガファンの中にもXBOXを推していきたい、という方がいるだろうと私は思うのだ。 その道のなんと険しいことか。 ご同情申し上げるとしか言いようがない。 敢えて茨の道を歩む人よ。 君に幸あれ。 |