斑鳩_3

自分を攻略せよ 2003_02_06〜10

 

『斑鳩』というゲームは楽しむことが難しい。
私はそう書いてきた。
あんまり難しい難しい言うと、これからチャレンジする人が減るから止めろよ!という向きもあるだろうと思うのだが、難しいと感じるのだから仕方がない。
私は有り体に書きたいのである。

そのかわり私は、いかにして自分がこの『斑鳩』というゲームを楽しめるようになっていったのか、ということも書いておきたい。
具体的にいうと、私の『斑鳩』は「ひどく間延びした、ひどく意地悪なシューティングゲームだ」というファーストインプレッションを覆すことだった。

私が書くことは上級者の皆さんとは違うかもしれない。
むしろ違って当然である。
なぜならば、私が書きたいのは『斑鳩』を攻略する方法ではなく、『斑鳩』から逃げようとする自分を攻略する方法だからである。


自分を攻略するために <その0> 準備

なにはなくとも、まず「アーケードスティック」。
これは用意しておきたい。
パッドの方向キーよりもスティックの方が優れている、などと私は全く思わないが、こればっかりは致し方ない。
この『斑鳩』というゲームは、座標を合わせるゲームではなく、「白か黒か」という属性を判断するゲームだからだ。
自機の属性を変化させること、選んで撃つこと、同色だけ残して力を解放すること。
この並列処理には、どうしてもボタン一個に指一本の対応が必要になる。
これは本質的な問題だ。
LRボタンでも対応できなくはないだろうが、アナログなのでかなり難しいと私は感じた。
タダでさえ楽しむことが難しいゲームなので、余計な負荷は事前に排除しておくことが望ましい。
もちろん純正の「アーケードスティック」を使う必要は全くないのだが。

余談になるが、「ツナイデント1・2・3」経由で、SSのコントローラーを使ってプレイしようと試みたところ、キーコンフィグがうまいこと対応しなかった。



自分を攻略するために <その1> 間を詰める

『斑鳩』をプレイしてはじめに思ったこと。
それは「ひどく間延びしたゲームだなあ」ということだった。

なんで間延びしているように感じるのかというと、それは『斑鳩』というゲームが敵を選んで倒すシューティングゲームだからである。
同色を3体ずつ倒していくことでボーナスが倍々になっていく。
ということは、倒す敵を選ぶ時間が必要になるわけだ。
逆にこのことは、プレイヤーが倒す敵を選ばなかったら用意してある間が無駄になる、ということである。
勢い間延びしてしまう。
つまり、得点を「稼いだ方が面白い」のではなく、「稼がなければ面白くない」のだ。

これがこのゲームの難しいところだと思う。
だって、面白いと感じる前の段階で、自分から間を詰めに行かなければならないのだから。
なかなか出来る事じゃないね。

だからこのゲームに挑むには、目標が違うんだ、ということをはじめに理解しておくことが大切なんだろう。
普通のシューティングみたいに「とりあえずクリア」を目標にするんじゃないんだ、と。
ハナから得点を狙っていくゲームなんだ、と。

ただ、ここで一つ書いておかなければならないのは、得点を稼ぐことで間を詰めていくと、いつしかまた間が空いてくるということ。
人間は慣れると判断が速くなったり、判断する必要がなくなったりするから。
そして『斑鳩』の本領はここからなのである。
空いた間を得点を稼ぐことでまた詰めていく。
間の空いた人には更に詰められるように、ザコ敵を用意してあるのだ。(いわゆる「早回し」)

この「間を詰めて、間をあけて、また詰める」という行為の繰り返し。
私はこれを理解できたとき、「ああ、『斑鳩』が面白いってのは嘘じゃなかったんだ」と思った。



自分を攻略するために <その2> 避けない

『斑鳩』というゲームは、得点を稼がなければ難しくない。
それは得点を稼ぐことがゲームバランスに組み込まれているからである。
同属性を撃ったときの撃ち返しにさえ気をつけておけば、2面に進むのはそう難しいことではなかった。

2面に到達した私は「げっ!」と思った。
障害物がある。
なんかしらんが、たまを避けようとするとバンバン障害物にぶつかってしまうのだ。
「なんちゅう意地悪なシューティングゲームだ、こりゃ!?」と思った。

最近の縦シューティングでは、私の知る限り、壊せない障害物はほとんど出てこない。
おそらく「避け」がゲームの中心に座っているからだろう。
弾を避けるゲームに障害物は要らない。
ストレスが堪るだけだ。
そういう通常のシューティングゲームと同じ感覚でプレイしていると、「ひどく意地悪だ」という印象を持ってしまうのである、この『斑鳩』に。

しかし、それは間違いである。
『斑鳩』は避けないゲームなのだ。
同属性は吸収できるんだから。
そこを理解すると途端に障害物は異属性弾の盾になる。
得点を稼ぎ出すと「ああ、障害物ってありがたいなあ」と思いこそすれ、「意地悪だ」とは思わなくなるのである。

障害物が盾になるんだと気が付いたとき、私はこの『斑鳩』というゲームがひどく良くできたゲームなんだということを知った。
それは、「点を稼ぐためにプレイヤーはこの位置へ来るだろう」と創り手が想定していた事を意味しているのだから。



自分を攻略するために <その3> 最後に

この『斑鳩』というゲームをはじめてプレイして、いきなり面白かった!などという人がいても私は全く信じない。
私はそんなはずはないと思うのである。
そこにはきっと何かがある。

そこにあるのは、「自分はシューティングゲーマーなんだ」という自負なのかもしれないし、「トレジャーがつまんないゲームを創るはずがない」という確信なのかもしれない。
私の話をするならば、それは「DCの最後ぐらい納得の行くプレイがしたい」という意地であった。

何でもイイ。
自分をゲームへと駆り立てる理由は。
それが何であっても、その全てを自分がプレイする力に変えていけたらいい。
私はそう思う。



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