テレビゲームは何かしらで得をするものである。 得をする方法の一つとして、ストーリーに価値を持たせることもある、当然。 一方で最近は、動画(カットシーンを含む)に時間を使うことがマイナスに作用するケースも出てきた。 映画ですら早送りする時代だからね。 したがって、場合によってはストーリーを犠牲にしてでも動画は短くした方がイイ、という判断もあるはずである。 ところで、『KENA: Bridge of Spirits』というゲームをこのところやっていた。 PS+EXにやりたいゲームがなく、いくつかやってみたものの最後までプレイできたのはこれだけだったのである。 なかなかよくできたゲームだった。 ちょっと触った感じでは、SIEの外注品かな、と思うぐらいプレイ感が似てた。 壁登りや弓中心の戦闘なんかが。 操作感はいいし、難易度も適切に感じられた。 CGのクオリティも高い。 黒い妖精のような仲間たちを使って攻撃したり謎解きをしたりするのだが、そこまで独創的でもなかった、反面。 凡庸なんだけど、すごくよくできてるって感じのゲームだったな。 以下、ストーリーに触れるので、興味のある方はむしろ読まないでください。 一方で、ストーリーは酷く薄味なんだ。 主人公はミドルティーンぐらいの少女で、スピリットガイドという設定である。 日本的な感覚でいうと、悪霊を成仏させるお仕事とでもいうべきか。(ゲームの中ではもうちょっと複雑だけど) しかし、助けてあげる3人と主人公の間につながりはない。 たまたま行きずりで助けることになっただけ。 舞台も、ある神山とそのふもとにある村だけのお話。 放っておいても世界が滅ぶわけじゃない。 主人公は逃げても構わないのである。 ストーリーによる価値づけという意味では、それほど上手いわけじゃないのだ。 その代わり、動画が短かった。 飛ばそうかな、と思ううちに終わるぐらい。 父親を助けられなかったことが主人公のトラウマになっているようで、何か含みがありそうなのだが、その辺の説明もなかった。 それでも全然問題ない。 ストーリーは薄味でも、それ以上に時間を使わせなければ、かえっていいのかも、と思わせる出来だった。 ゲームの中身が良かったからでもあるけどね。 これからのゲームはこういう方向性になっていくんじゃないかな。 早送りをカットシーンに実装しようとすると、その分CGのクオリティを下げなきゃならないから、短くする方が簡単だろう。 プライスを維持するために動画を長くする、なんて手法は時代遅れだよね。 |