ポケモン+ノブナガの野望

カタカナの功罪 2012_05_15

 

我々は日常的にカタカナを使う。
外来語を表記することもあれば、擬音を表現するのに使うこともあるし、難しい漢字を敢えてカタカナで書くこともある。
音をそのまま表現し、かつ平仮名と区別することができる便利な文字と言えるのではないか。
しかし、漢字に比べれば、そこに載っている情報量は小さいわけで、良いことばっかりではないこともまた一方で事実であろう。
情報を殺すことで得をする部分と損をする分は必ずあるわけである。


『ポケモン+ノブナガの野望』が発表されたときは、さすがに驚いた。
コラボゲームもついにここまで来たか、という感じで。
私も興味はあったのだが、いまさらDSかと思う部分もあって保留してた。
しかしながら、どうにも遊びたいゲームがないので、いよいよやらざるを得なくなったのである。

「ポケモン」と「ノブナガの野望」をどうやってくっつけるのかな、ってのが興味の主眼だったわけだけど、結論から書くとカタカナを媒介として利用することで「+」を実現したようだ。
「戦」を「イクサ」と書くことによって、戦争のイメージを消して、ポケモンバトルをスポーツのようなイメージで捉えていく。
「乱世」を「ランセ」と書くことでポケモンのランセ地方みたいに捉えていく。
戦国武将もカタカナで表記することによって、架空のお話ですよ、というニュアンスを出しているようである。
解像度が低くて難しい漢字を表示できないDSの特性を上手く活かした舞台設定だな。

ただし、いいことばっかりじゃなくて、カタカナにすることで歴史的な背景が失われる部分もある。
「信長の野望」って歴史小説なんかで武将を知っているから面白いってところは少なからずあるからね。
前線で育てるキャラはまだ良いけど、後ろで内政やらせるヘボい武将とか、操作するのがメンド臭くてしょうがない。
コイツは主君の身代わりに死んだ武将だったな、とかって思うからパラメーター低い武将でも使う気になるんだよ。
カタカナ名で使い回しの顔だったりすると、全然がやる気わかない。
雑魚がいっぱい仲間になるから、逆に鬱陶しかった。
ゲーム自体もポケモンを使ったヌルイSRPGに過ぎないので、「信長の野望」エッセンスが弱いとプレイするのもシンドかったな。

カタカナを上手く使って確かにプラスはあったが、歴史的背景が弱まってマイナスも大きかった印象だ。
ポケモン側からするとプラスで、信長側からするとマイナスってことなのかな。
異質なものをくっつけるんだから、仕方がないのかもね。


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