パワプロ2000
芯の感触 2000_05_09
カーブはチャンスボールだと、前もって自分に言い聞かせていた。
佐々岡は決して打てないピッチャーではないが、シュートとスライダーを
持っているため、中速球は迷いが生じる。
カーブが来たら必ず打つんだ。
5回の裏の攻撃、3−1で負けている場面。
ランナー、一二塁で、バッターに仁志を迎えていた。
その初球にカーブはやってきたのだ。
しかも、ど真ん中。
強振のバットを思い切り振り抜くと、打球はレフトスタンドに吸い込まれ
ていった。
その時、私はあたかも本当に自分がホームランを打ったかのような錯覚を
覚えた。
カキーンという打球音が耳に残り、バットの十字マークとボールが重なっ
ている光景が残像になって目に残っていた。
そしてその手には、ボールを本当に打ったかのような感覚が甦っていたの
である。
野球はなぜ面白いのか?
野球の面白さってどこにあるのか?
私はこう考える。
野球は打つことが面白い。
打つことこそが野球の醍醐味であり、一度でもバットの芯でボールを捉え
たことのある人ならばTVを見るだけでその感覚を甦らせることが出来る。
だから、野球は人気があるのだ。
あれほどインプレーの時間が短く、ともすれば退屈な野球がこれほど大衆
に支持される理由を他に見いだすことが出来ない。
実況パワプロ2000をプレイしていて、改めてそれを実感した。
ただ不思議なことに、今までは感じたことがなかった。
それはパワプロが進化したからかもしれないし、ゲームに取り組み、ゲー
ムを書いてきた私が進化したからかもしれない。