TRIZEAL トライジール_5

隠し要素 2005_05_06

 

かつてゲームには隠し要素を必要とする時代があった。
ファミコン全盛期のことである。
私はそれを直接は知らないのだが、雑誌やらテレビやらで取り上げられていたことは知っている。
どうも一種のブームだったようで、最近は隠し要素を売りにするようなゲームはほとんどない。(と私は認識している)
隠す部分に力を注ぐぐらいなら、誰もが通る道を整備すべきことは明白なのである。

ところが、『トライジール』をプレイしていて、ああ、隠し要素ってのは本来こうあるべきだったのか、と気づかされることがあった。
是非この点を書いておきたい。

シューティングゲームに限らず、バタバタと忙しいゲームには必ず緩急がある。
ずーっとプレイヤーを緊張させ続けるようなゲームがあるとすれば、相当出来の悪いゲームと言えるだろう。
しかし、人間はゲームに慣れる。
緩急の「急」がいずれ「急」でなくなってしまうのである。

例えば、『トライジール』のオープニング。
スタートして敵の第一陣がやってくるまで、第一陣と第二陣の間、第二陣後の雲、と間が開けてある。
最初ということもあって、「緩急」の「急」を少なめにしてあるのだ。
その少ない「急」ですら慣れればユルユルになってしまう。
だが、一面は得点を稼ぎはじめると頻繁にリセットをかけるので、この緩いところが凄くイヤ。
いかにも怠いのである。

ところが、1面の雲に突入する前に、変形ボタンを12回もしくは24回押すと1万点UFOが出てくる。
スコアアタックするようになれば、これは必ずやらねばならない。
変形ボタンは受付に無効時間があって、変形はしないけど、ボタンは押している、という事態になりやすいため、12回きっちり押すのって案外難しい。
これをやってると、慣れでユルユルだった部分がまた刺激的なるんだ。
隠し要素の使い方としては巧いな、と思った。

誰にだって初心者の時があるから、最初から難しくすることは出来ない。
だから、慣れてきた人、得点を稼ぎはじめた人にだけ+αを用意する、という考え方はあり得る。
はじめから目に見える形で織り込んでおくと、プレイヤーはそれを追いかけてしまうから、敢えて隠しておくのだ。
これはひどく真っ当な隠し要素の使い方だな。
今の世の中、大抵誰かがネットで情報を公開するから、それを当て込んでおく、というのもアリかもしれない。
最悪、創った人が自分でリークしてもいいわけだし。

隠し要素って本来はこういうものだったんじゃないの?
そもそも同じゲームを何回もやる、ということ自体がなくなりつつあるから、隠し要素なんて必要ないことが多いんだろうけど。



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