かつてゲームには隠し要素を必要とする時代があった。 ファミコン全盛期のことである。 私はそれを直接は知らないのだが、雑誌やらテレビやらで取り上げられていたことは知っている。 どうも一種のブームだったようで、最近は隠し要素を売りにするようなゲームはほとんどない。(と私は認識している) 隠す部分に力を注ぐぐらいなら、誰もが通る道を整備すべきことは明白なのである。 ところが、『トライジール』をプレイしていて、ああ、隠し要素ってのは本来こうあるべきだったのか、と気づかされることがあった。 是非この点を書いておきたい。 シューティングゲームに限らず、バタバタと忙しいゲームには必ず緩急がある。 ずーっとプレイヤーを緊張させ続けるようなゲームがあるとすれば、相当出来の悪いゲームと言えるだろう。 しかし、人間はゲームに慣れる。 緩急の「急」がいずれ「急」でなくなってしまうのである。 例えば、『トライジール』のオープニング。 スタートして敵の第一陣がやってくるまで、第一陣と第二陣の間、第二陣後の雲、と間が開けてある。 最初ということもあって、「緩急」の「急」を少なめにしてあるのだ。 その少ない「急」ですら慣れればユルユルになってしまう。 だが、一面は得点を稼ぎはじめると頻繁にリセットをかけるので、この緩いところが凄くイヤ。 いかにも怠いのである。 ところが、1面の雲に突入する前に、変形ボタンを12回もしくは24回押すと1万点UFOが出てくる。 スコアアタックするようになれば、これは必ずやらねばならない。 変形ボタンは受付に無効時間があって、変形はしないけど、ボタンは押している、という事態になりやすいため、12回きっちり押すのって案外難しい。 これをやってると、慣れでユルユルだった部分がまた刺激的なるんだ。 隠し要素の使い方としては巧いな、と思った。 誰にだって初心者の時があるから、最初から難しくすることは出来ない。 だから、慣れてきた人、得点を稼ぎはじめた人にだけ+αを用意する、という考え方はあり得る。 はじめから目に見える形で織り込んでおくと、プレイヤーはそれを追いかけてしまうから、敢えて隠しておくのだ。 これはひどく真っ当な隠し要素の使い方だな。 今の世の中、大抵誰かがネットで情報を公開するから、それを当て込んでおく、というのもアリかもしれない。 最悪、創った人が自分でリークしてもいいわけだし。 隠し要素って本来はこういうものだったんじゃないの? そもそも同じゲームを何回もやる、ということ自体がなくなりつつあるから、隠し要素なんて必要ないことが多いんだろうけど。 |