カイゼン:ある工場のストーリー、STEAM版

30年前に聞いた話 2025_08_01



三菱自動車に就職した先輩がトヨタの工場を見学して驚いたそうである。
下っ端のエンジニアがラインを平気で止めるから。
自動車の製造ラインって一回止めるだけで多額の損失が発生するから、三菱自動車では下っ端は止められないんだそうである。
さすがトヨタさんは違うね、ホントに現場で「カイゼン」するんだ、と驚いたのであった。
これは30年ぐらい前に聞いた話。
『カイゼン:ある工場のストーリー』は1980年代の物語だから、もう少し前のお話ということになる。

私はこの『カイゼン:ある工場のストーリー』をたまたまSTEAMで見つけた。
これは自動製造ラインを設計するゲームである。
パッと見で面白そうだと思ったな。
といっても、電気回路などは無視しているので、実際はデザイン通りにくっつけるだけ。
実のところ、パズルゲームに近い。
ただし、かなり自由度があって、タイム・コスト・エリアの三つの要素をいかに小さくできるかを競うゲームということもできる。
それこそ「カイゼン」である。

やってみたら意外と難しかった。
STEAMのレビューを見たら簡単って書いてあったけど、全然そんなことなかった。
ラインを作るだけなら、まあ何とかなるのだが、改善するとなると話は別。
全然うまく出来なかった。
他のプレイヤーの統計と自分の出来を比較できるのだが、私は常に平均以下だったな。
終盤は一つラインを作るのに1時間以上かかっちゃうこともあり、なかなかに骨が折れた。
まるで仕事をしているみたい。
まさしく仕事はゲームでもあるのだが。

それでも楽しくプレイを進められたのは、ストーリーに惹かれたから。
営業のつもりで日本企業に就職した米国人主人公が、日本のモノづくりに染まっていく感じがすごく良かった、というか心地よかったというかね。
作っているのは外人さんらしいのだが、1980年代の日本の雰囲気を見事に掴んでるんだ。
たぶんの日本のことを良く知っているのだろう。
セリフは翻訳されているからやや硬いのだが、話している内容は極めて日本的。
感心させられた。

これは私にとっては目新しいし、面白いゲームでもあった。
その上、古き良き日本を偲ぶこともできるというオマケつき。
これはプレイして良かった。


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