オウガバトル64

オウガバトルに連なる思い '99_08_11



オウガバトルという名前は、私にO先輩を連想させる。
私の部活の先輩であり、私がいままで見たゲーマーの中で、もっともゲーマー
らしい人だ。
通称イカ村さん。

まだ、『ゲーマー』と呼ばれることに抵抗を持っていた頃、イカ村さんは私に
とって重要な人物だった。
というのも、彼の存在は私を安心させたからだ。
自分よりもやりすぎている人がいると、「ああ、まだ自分は大丈夫だ」と安心
するものである。

彼はゲームすることを『結界を張る』と呼んでいた。(余談だけど、『結界』
って、atok11の標準状態では変換できないのね。ゲームのやりすぎで、結界と
いう非日常的な言葉が私にとって、あるいは多くのゲーマー達にとって、日常
語になってしまっているらしい。)
やり始めると、それこそ半日くらい部屋から出てこないんだそうだ。
ご飯も食べない。
親に呼ばれても返事しない。
そして我々は、一応かりにも体育会系の部活に所属していながら、妙にゲッソ
リとしているイカ村さんを見ることになる。
実際、体重も減るそうだ。

そんなイカ村さんが愛して止まないゲーム、それが「伝説のオウガバトル」だ
った。
延々と繰り返しプレイしたらしい。

私なんかは一回クリアしたきりだった。(まだSFCを捨てる前だった)
クリア時の国民の支持率が5%と異常に低く、国民を納得させるために仲間に
斬首刑にされてしまった。
なんでも、戦闘部隊と解放部隊にチームを分けないと、街を開放したときに、
支持率が下がってしまうらしい。
確かに戦闘を繰り返した人間の心は荒んでしまうものだから、理にかなったシ
ステムと言えなくはない。
が、そんなメンドくさいゲームやってられるかっ、と思って当時は投げ出した。

それでも、イカ村さんがチマチマとプレイしている姿を思い浮かべると、不思
議と『さもありなん』という気がしたものだ。
やり込みゲーマーには、たまらないゲームだったのだろう。

いま私は「オウガバトル64」を手にしている。
イカ村さんはもうプレイしているだろうか?
確か5月の段階では64を持っていなかったはずだが・・。
それに結婚するという話だった。
「ゲームは一日一時間まで」と奥さんに言われているとか。
もう、昔のようには出来ないだろう。

それでもイカ村さんなら、ひょっとして・・・。
私はかすかな期待を抱いている。
イカ村さんにはいつまでも、私を安心させる存在であって欲しいのだ。
それは自分のことをゲーマーだと感じるようになった今も変わらない。


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