私は何かと戦っていた。 何と戦っているのかはわからない。 ひと戦闘終え、仲間とアジトに戻る。 すこし眠ろうかと壁に背をもたれさせると、横に青白い顔の男が座っていることに気づいた。 ゾンビだ。 仲間がゾンビなのだ。 私は言う。 「寝てる間に喰うなよ。」 「我慢出来たらね。」 青白い顔のゾンビは無表情に答えるのだった。 まったく、不安で眠れないじゃないか・・・。 という夢を見たことがある。 夢の中では大抵私はゾンビと戦っているのだが、一回だけ仲間になったことがあった。 本家の「ゾンビ」にも知性や社会性を身につけつつある描写が出てきているし、まあ、人間的なゾンビがいてもいいのではないか。 そういう創作物が出てきてもおかしくはないだろう。 そんな事情を知ってか知らずか、ちょっと不思議なタイトルのゲームが発売された。 DSで発売された『ぞんびだいすき』がそれである。 ゾンビが好きっていわれるとちょっとどうかと思うが、平仮名になっているところがミソなのだな。 ジャンルでいうとRTSに分類されるゲームなんだと思うが、操作対象をゾンビにしているところがちょっと面白いところである。 なかなか言うことを聞かない。 敵を見ると勝手に襲いかかっていくし、肉にはつられるし、障害物にも手当たり次第に攻撃してしまう。 そういうところがゲームなんだな。 上手くいかないようにするのがゲームだから。 農場という設定を活かして、成果が必ず蓄積していくように創られているのもやる気にさせる。 ただし、割とオーソドックスなので、見るべきところは他にあるだろう。 なんといっても、ゾンビなのにコミカルなところが良いところだ。 最初に農民を殺した悪いヤンキー達はやられて当然だが、それ以外の市民は特に悪い訳じゃない。 それなのに、どんどん倒しちゃう。 でもそんなに悪い感じはしない。 むしろ「ぞんび」を倒す側の方が悪者にされている。 こいらへんが「ぞんび」だし、ぞんびにされちゃうのに「だいすき」なんだな。 ぞんびになるのもそんなに悪くないよな、みたいな感じ。 そんなにイイとも思えないが、それなりに可愛らしく感じられるから不思議なもんである。 ぞんびを悪者にしない発想がよかった。 割とよくありそうなんだけど、ゾンビを平仮名にするセンスで一味違うゲームに仕上げてきた。 それなりに楽しめる作品だったな。 |