私は高く上がったフライを捕るのが苦手である。 野球だけじゃなくて、少年サッカーやってるときもよくかぶる子供だった。 なぜ高く上がったボールが捕れないのか? 捕れない理由は簡単で、足が止まるからである。 落下地点に近いところまで行って足が止まると、見上げたボールは止まっているように見える。 少しずれていた場合、気づいたときにはもう遅い。 高く上がったボールは位置エネルギーを運動エネルギーに変換しながら落ちてくる。 高く上がればあがるほど落ちてくるスピードも速いのだ。 これを防ぐには、余裕があるうちに足を動かして、強制的に視差を作ってやればいい。 複数の視点からの情報を元に落下地点を割り出すのだ。 もっとも、そんなことは言われなくてもわかっている。 なんと言われようが、出来ないものは出来ないよね。 ヘタッピなんだから。 さて、一体どうしたらいいのか。 このところ、『スーパーマリオギャラクシー2』をやっていた。 現在スターを111個集めたところで、もう止めようかなと思っている。 ここから先、難しいステージをやる気にはならない。 すごく面白いけど、やっぱりマンネリだな。 やる前から想像できたことではあるが。 やる前からマンネリだと思いつつも買ったのは、このゲームに「はじめてのスーパーマリオギャラクシー2」というおまけDVDがついていたからだ。 といっても、別におまけDVDが見たかったのではない。 任天堂がこの手のおまけを付けるからには、『ムジュラ』とか『大玉』みたいに、プレイヤーには荷が重いだろう、と判断したはずだと思ったからである。 任天堂は初心者がどの程度の負荷に耐えられないと考えているのか、を私は知りたかった。 やってみたら、凄く簡単だったな、『スーパーマリオギャラクシー2』。 エンディング見るだけなら、だけど。 2Dマリオなら遊べる、という層を何とか取り込みたいんだろう。 そういう層に対しては、3Dであることが非常に高い負荷になると任天堂は考えているようである。 だからこそ、我々のような慣れているプレイヤーには簡単すぎるバランス取りにしたはずだ。 3Dとは言っても、実際には3Dを投影した平面図を見ているだけだからな。 情報が足りないのである。 ホログラムディスプレイならいざ知らず、今流行りの3Dテレビでもこれは同じだ。 横から見たって側面が見えるワケじゃない。 実際プレイしてる時も、段差なのか模様なのか分からなかったり、足場があると思ったら無くて落下することはよくあった。 3Dってストレスが溜まる。 これを回避するためには、ゲーム中で視点を回してやったらいい。 GCの『サンシャイン』のように、右アナログスティックを使ってね。 視点を回してやれば、同時にではないにせよ複数の視点からの情報を得ることは出来る。 しかし、このゲームが狙っている層は右アナログスティックを使いこなせる集団ではないし、そもそもWiiに右アナログスティックはない。 さて、任天堂はどうしたのか?というと、視点を限定する事を選択したようである。 まず状況を特定するために、一方向に進むステージを多くした。 状況が特定されるから、もう視点は局面局面で固定してしまう。 繊細な操作をやらせたいときは、1次元落ちる位置から。(真横、真上) 状況を把握させたいときは斜め位置から。 広い範囲で動けるときは少し引き気味に。(敵はあんまり攻撃してこない) 見やすさも負荷のデザインの中にきっちり織り込んで見せたな。 クリア後のステージなんかは、敢えて繊細なプレイを斜め視点からやらせる場面もあったが、おそらく意図的であろう。 極めて丁寧な作りではある。 さすがは任天堂。 でも、これってジャパニーズRPGと似たようなことでもあるよな。 状況を特定することで負荷の調整を可能にするという意味で。 やってることが高尚だから、同じようには感じないと思うけど。 たくさんの人にやってもらおうと思うと、結局似たような結果になるのかもしれないね。 任天堂ですら、それは避けられない。 <追加 2010_06_13> ちょっと待てよ。 今流行りの3Dディスプレイはゲームに全く影響を与えないだろう、と思ってたけど、3DSあたりは違うかもしれないな。 距離が近いから視差の角度が大きくなる。 ひょっとしたら、3Dであることの負荷を軽減する作用があるかもしれん。 |