HER STORY、Steam版

不便さと低価格のマッチング 2018_05_05

 

Steamを使うより他にやりようがなくなっている。
あまりにもコンシューマ(今後はCSと略す)にやりたいゲームがなくて。
ただし、Steamのゲームだって特にやりたいわけじゃないので、安くて評判が良さそうな作品をウィッシュリストに入れておくだけである。
そうすると、セールの対象になったときにメールが送られてくるのだ。
安い物に関しては、とりあえずプレイするかどうかは別にして、一応買っておく。
中でも群を抜いて安かったのが『HER STORY』。
なんと299円で買えた。
もちろん、安い物には安いなりの理由があるのは当然の事である。

このゲーム、起動してもWin95もどきのデスクトップ画面に検索窓が一つ開くだけである。
デスクトップにテキストファイルが置いてあって、一応説明は書いてあった。
どうやら20数年前に起きた殺人事件の容疑者の事情聴取を録画したビデオファイルを検索して、その謎を解き明かせ、というような事らしい。
謎を解いたからといって、別に捕まえるわけじゃない。
単にプレイヤーの胸の内で理解して納得するだけ、という事のようだった。
まあ、斬新ではあるわな。

ゲームの進め方は、検索窓に事情聴取で出てきそうなキーワードを入力して、動画を検索するだけ。
これがなかなか難しいんだ。
検索するのは英語を翻訳した日本語だし、検索で出てくるのは上位5つまでだから、ありきたりな言葉だとたくさん引っ掛かって重要な動画が見つからない。
しかも、仮に怪しそうなファイルを見つけても、それを時系列順に並べたりはしてくれないんだ。
基本全部自分でやる。
そういうゲームなんだよ。
出来ないようにするのがゲームだからね。

しかしながら、自力で全部やれるかといったら、私には出来なかった。
私に理解できたのは、どうやら双子を使ったトリックらしい、というところまで。
ある程度やったところで、躊躇う事なく攻略ページを見ちゃった。
299円のゲームにそこまで力は裂けないだろ。
攻略ページの力を借りて、時系列順に動画を観ていくと、なるほどよく分かる。
荒い動画でも女優さんがちゃんと演じているのが見て取れた。
評判がいいのも頷ける。
これを自力で解いたヒトは面白かっただろうな。
不便な分だけプレイヤーの寄与が大きい事にもなるわけだから。

私は値段が張ってもいいから、もうちょっと丁寧な作りにしてもらいたい、と一時は思った。
しかし、それは間違いだろう。
値段が安い事とそれ相応の不便さがプレイヤーの喜びを喚起して、高い評判を得る事になったに違いない。
親切設計にする代わりに価格を高くしたら、おそらく満足度は下がるはず。
評判が高くなければ、私がこのゲームをプレイする事もなかったわけである。
そう意味では、不便さと低価格がマッチしてるんだよ、このゲームは。


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