STEAMには返金制度がある。 プレイ時間が2時間未満なら返金してもらえるのだ。 これによって正式リリース版をあたかも試用版のように使うこともできるし、短い作品だとクリアしちゃうことも可能なのである。 購入側にはありがたい制度であるが、創り手には困った話でもあるだろう。 創り手が返品されないような対策を考えたとしても不思議ではない。 ところで。 たまたまSTEAMを見たら、新作リストの一番上に『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』というシューティングゲームが載っていた。 見るからに硬派な縦シュー。 横画面だから描画範囲が狭くて窮屈な感じはするものの、グロっぽいデザインも含めて面白そうな印象は受けた。 即座に買ったね。 やってみたら、ホントに硬派なシューティングゲームだった。 創り手は「骨硬派」という言葉を使ってたけど。 避けるより、前に出て攻撃される前に倒せ!というゲーム。 チャージショットで敵弾を消せるのだが、攻撃力は小さいので、敵が撃つ前に倒すことが重要になる。 それ以外にも前に出ることが有利になるように設計されており、「骨硬派」という言葉に偽りない作品であった。 しかし、最初はそれよりも説明が親切なところに目がいった。 メチャメチャ親切にゲームシステムを説明してくれるのだ。 シナリオ上の設定がゲームシステムにどう落とし込まれているのかまで、極めて丁寧に説明してくれる。 しかも、メッチャ褒めてくれるの、大したことしてないのに。 ちょっと異常なぐらいプレイヤーを持ち上げてくれる。 その後、なぜか「VERY HARD」からゲームはスタートするのだが、これが異様なほど簡単。 おそらくほとんどのプレイヤーが初見でクリアできたんじゃないかな。 この時点で私はある程度満足していた。 まだ一時間ほどしか経過していないが、返品しようなんて、これっぽっちも頭になかったのである。 ところが、ここから本番。 「Very Hard」は実は「Very Easy」だった、と明らかにされる。 次の「Extinction」が実質的には「Normal」だったのだ。 これが極悪の難易度。 一面のボスがクリアできない。 50回ぐらいやってもクリアできないどころか、体力を半分削ることすらできなかった。 触手と顔の間に入り込んで攻撃しないと倒せないことに気づいてから、さらに50回ぐらいやってやっと倒せた。 一面のボスがこんなに難しいシューティングゲームは初めて。 この時になって、最初から「Extinction」をやっていたら、きっと返品していただろうな、と思った。 そして、あの丁寧な説明も、不自然な褒めちぎりも、異様に簡単な「Very Hard」も返品対策だったのかと気づくのであった。 ホントに作りたかったのは、最初から「Extinction」の方だったんだろう。 でも、こんなのやらせたら大半は投げ出すからね。 これは正解だったと思うよ。 返品すればよかったなんて、いまも思ってないもの。 |