「天は自ら助くる者を助く」という諺がある。 これは<Heaven helps those who help themselves>を訳したもので、日本の諺ではないようだが。 要するに、自助の精神を持たないものを天は助けない、ということだろう。 当然ゲームにおいても、それは当てはまるはずである。 『風来のシレンDS』が全く進まなかった。 なぜなら、行き倒れたまま誰にも救助してもらえなかったからである。 さすがに32階はちょっと難しかったのか。 三日経ち四日経ち、これ以上待っても救助してもらえないだろうと観念した。 かといって、育てた装備を捨てる気にもなれない。 そこで、自分で自分を救助することにした。 いつまでも他人(ひと)を頼ってはいられない。 私はもう1個『風来のシレンDS』を入手した、中古で。 すると、思いがけないご褒美が付いていたのである。 前のプレイヤーのデータが残ってる! しかも、超凄い装備!! おそらくベストの装備なんじゃないか。 自分が育てた装備など比較にならない。 これならあっという間に救助できるだろう。 なんという天の采配。 もちろん、人様の育てたデータを使って救助していいのだろうか?という迷いはあった。 まあしかし、結局WiFiで救助して貰ったって、見知らぬ人にプレイを負担して貰っているだけなんだから、ここで意地になっても仕方なかろう。 これは自分を助けようとする私を天が助けてくれたんだ、と思うことにした。 私はすんなり自分を救助したのである。 ただやはり問題は残っている。 この凄い装備は私を誘惑するのだ。 私にはHIVという名前があるので、他人のデータでプレイを進めることはあり得ないが、装備を自分のデータに送ることは出来る。 それやっちゃったら、おそらくこれ以上『風来のシレンDS』を続ける意味はないだろうな。 だったら今すぐデータを破棄すべきである・・・なんて考えていたら、43階でまた行き倒れた。 このデータ、捨てられない。 |