幽霊が見えたらいいのにな、と私は常々思っている。 魂の存在を信じられたら、死ぬのも怖くないからね。 成仏する必要なんか全然ないじゃん。 ずっと自我を保ったまま、この世でもあの世でも彷徨っていたいと私は思っているのである。 ところで、『HAUNTii(ホーンティ)』というゲーム。 新規にGamePassに追加されたゲームの中でたまたま目を引いたからプレイしたみただけのなのだが、これは実に困ったゲームだった。 手書きアニメ風のデザインが興味をそそる。 でも、ゲームとしては特に面白くない。 何かを達成すると星が貰えて、一定数溜まると先に進めるようになるという、マリオ64みたいなシステムなのだが、圧倒的に手触りが悪いのだ。 モノトーンなので、奥行きがわかりにくいし、レスポンスもあんまり良くない。 それでも最後までプレイできたのは、結末を知りたかったから。 ラストの話を書かなければならないので、興味がある人ほど読み進めないでください。 このゲームの主人公は記憶を失った幽霊。 どうやら、天使のような奴と一緒に天に昇っていく途中で何かに妨害されて、あの世とこの世の中間地帯のようなところに落ちたらしい。 天に昇るのは日本流にいうと成仏ってことなのかな。 世界観はキリスト教っぽいから、成仏という概念が存在するのかどうか知らないが。 説明がないので分からないが、主人公は成仏しようとしているらしいのである。 でもなぜ成仏しようとしているのか、その為になぜ天使を助けようとしているのか、全然わからない。 だって、成仏せずに幽霊暮らしをエンジョイしてる連中もいるし、天使と戦ってる連中だっているんだから。 成仏したい理由がわからないのである。 それが知りたくて最後までやったようなものであった。 しかし、結局理由は分からなかったな。 成仏するためには、せっかく集めた記憶を放棄しなければならない。 記憶を手放すときに主人公が愛おしそうに頬を寄せるシーンは強く感傷を誘う。 だったら、手放さなきゃいいじゃん、と私は思うな。 こんなの辛いだけだよ。 成仏したらどんないいことがあるのか全然わからない。 エンディングを見るつもりがなければ成仏しなくてもいいんだけどね。 成仏するタイミングはプレイヤーにお任せなので、ずっと留まっていてもイイ。 もっとも成仏せずに全クリを目指したいと思えるほど、プレイそのものは面白くなかったけどね。 成仏には、ゲームを終わらせる、という程度のメリットはあるのかもしれない。 |