グリップの思想

グリップの思想 2004_01_15-17

 

コントローラって面白い。
そのデザインには思想がある。
今回たまたまGBAとGBP(GC)を両方使ってみてわかった。


今年の正月は実家にGBAしか持って帰らなかった。
いい歳にもなると実家というのはゲームしづらいもので、たくさん持って行っても仕方ないだろうという予感はあったのである。
案の定『マリオ&ルイージRPG』ですら3日で10時間ほどしかプレイできなかった。
その後、東京に戻ってきた私は当然GBPで『マリオ&ルイージRPG』をプレイしたわけだが、これが凄く操作しやすかった。
断然LRボタンが押しやすいのである。(スタートボタンは遠いけど)

なにせ『マリオ&ルイージRPG』は2個しかないボタンをマリオとルイージに一個ずつ割り当ててしまうので、ボタンが足りない。
じゃあどうするのかというと、LRボタンでアクションを切り替えて使うことになる。
そうすると、通常よりもLRボタンの利用頻度が高くなる。

ところが、GBAはLRボタンが押しにくいのである。
如何にゲーム機といえど作用反作用の法則から逃れることは出来ない。
必然的にLRボタンを押すには反力を作り出さなければならない。
具体的には人差し指の付け根あたりでホールドするか、薬指をGBAの下に入れるか、何か対策を立てることになる。
一方、十字キーやA・Bボタンを押すには、GBAを浅く持ちたい。
私の手が少し大きいからかもしれないが、LRボタンを頻繁に押すゲームはやりにくいな、ということを感じながらのプレイになった。
思えば、この感覚はSFCで『ストリートファイター』の大パンチ(Lボタン)が出し難いと感じていたことと同じだったかもしれない。

それがGBPに切り替えてからは全く気にならなくなったのである。
グリップポジションになってるからだ。
十分に反力を生み出すことが出来る。

さらに面白いことに、グリップポジションのL・Rボタンというのは、グリップすることの延長にあるのだ。
人差し指の第1関節から動いているでしょ。(個人差は当然あるにしても)

そうすると、L・Rボタンというのは一個になる。
手の握り方が二種類あるんですよ、という人は考えにくいから。
GCのZボタンが異様に小さいのは、利用頻度の高いキーを割り当ててくれるな、ということなんだろう。

逆に、同じグリップポジションぽいデザインでも、PSなんかは全然違う。
L・Rボタンは指先で押すイメージなのだ。
L1・L2の押しわけは指を横へ動かすことで行う。
この動作は通常にはないものである。
もしグリップを意識しているんだったら、おそらくL・Rボタンはもう少し外側にスライドして、かつコントローラの上面に対して斜めにボタンを付けるだろうな。
L1・L2ボタンも均等割だし。

以前から64のZボタンは素晴らしい、ということは感じていた。
ただL・Rボタンに比べて何が素晴らしいのかを理解することは出来ていなかった。
あれはグリップすることが生み出していたものだったんだ。
64のコントローラーがGCに引き継がれないことはひどく残念なことだったけど、グリップの思想は受け継がれている。
64のコントローラーが全く死んでしまったわけではなかったんだな。



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